第7回いっしょに読もう!新聞コンクール
最優秀賞(中学生部門)・窪田絢水さんと出会った記者の思い

復興へ「笑顔の力」信じて

 「記者さん。地震の記事に『笑顔』と書くのはやめてくれないかな。とても笑ってなんていられないんだよ」。昨年4月の熊本地震後、熊本市に整備された仮設住宅団地で暮らす男性に、こう声を掛けられた。

 震度7の揺れが熊本県内を2回襲った地震。1月中旬現在、震災関連死を含め180人が犠牲になり、建物18万棟が被害を受けた。発生から約10か月がたった今も、心の傷が癒えないまま、仮設住宅などで不便な生活を送る被災者は少なくない。

 昨年5月、笑いとヨガの呼吸法を組み合わせた健康法「笑いヨガ」の普及に取り組む西嶋敏さん(63)=熊本市=を朝刊の記事で取り上げた。「つらい時こそ、笑ってほしい」と、避難所などで笑いのイベントを続けてきた西嶋さんの活動を伝え、少しでも被災者が前を向いてくれれば─との思いだった。

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