“先生”体験から考える

「四つのひみつ」の授業――こどもたちの知的冒険心をかきたてる

 人前で話をしたり、モノゴトを整理したりするのが苦手で、「学校の先生と銀行員には、なれないよなぁ~」と、中学生のころから漠然と思っていた。

 20年余り記者を務め、出前授業を担当するNIE事務局に配属になったのは、昨年4月。2年目の今年はなぜか出前授業の依頼が多く、最多の年の70件を優に超える勢いだ。集中月は、午前と午後、“ダブルヘッダー”の日も珍しくない。

 「きょうの1面で一番目立つ記事を指差してみて」。おかげで、授業のひとこと目がスムーズに出るようになった。

 NIE事務局のスタッフは現在、事務局長の私とNIEコーディネーター(週3日勤務)の2人。今年は「新聞っておもしろい!」を合言葉にしている。

 出前授業で配るのは、「新聞のひみつを学ぼう!」と題したワークシート。特別な要望がなければ、授業1コマ分は、新聞社がニュースを分かりやすく伝えるためにしている工夫の解説に充てている。

  • ひみつ①「あたま・かた・へそ」
  • ひみつ②「5W1H」
  • ひみつ③「逆三角形」
  • ひみつ④「10」(見出しは10字以内)

 4点に絞って、最初に「四つのひみつがあるよ」と伝えるのがポイント。「ひみつ」という言葉に、こどもたちの目が輝く。知的冒険心をかきたてる仕掛けだ。

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