“先生”体験から考える

アナログにこだわって

 授業では、パソコンなどのデジタル機器や便利なソフトウエアは基本的に使わない。「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「どのように」「なぜ」……一枚一枚ラミネート加工した紙を、いちいち黒板にはりながら説明し、「本田選手が決勝ゴールを決めた」と板書、「これを10字以内の見出しにしてみよう」などと問い掛ける。

 「アナログ」にこだわるのは、肌感覚を大事にするため。情報技術の活用を否定するわけではないが、NIE実践指定校の公開授業で、紙ではなくインターネット上の新聞記事を引用し、スクリーンに大写しにしている場面に遭遇すると、「ニュースの価値を判断し、見出しで表現している新聞の良さが伝わっていない」と、つい眉をひそめてしまう。

 以前は出前授業の研修を受けた登録記者が、それぞれ担当の先生と打ち合わせをしながら授業を組み立てていたが、今はこの「四つのひみつ」が基本。

 記者を育てて登録し派遣するやり方は、時間や手間が掛かる上、結果的に記者任せとなって均質な授業が担保できなくなることから、やめたと伝え聞いている。

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