“先生”体験から考える

子どもたちの正直な感想を糧に――新聞に目を向けるきっかけづくりに励む

安来市立荒島小学校での新聞教室(山陰中央新報社提供)

 教師になるのが夢だった私が、新聞社に勤めて40年以上、NIE担当になって11年目になった。事務局を務める島根県NIE推進協議会は昨年、創立20周年を迎えたので、その半分以上に関わらせていただいたことになる。のべ30年の外勤、内勤記者生活を経て、50代半ばに会社からNIE担当を任されたことは、私の新聞社生活の中でも大きな転機となった。新聞教室で、まさか夢だった“先生”として教壇に立つことになるなど、予想だにしないことだったからだ。

 年間30回近い新聞教室で、学校から求められるテーマは極めて多岐にわたる。「新聞作り(取材の仕方、記事の書き方、紙面の作り方、写真の撮り方)」「新聞の見方・読み方・楽しみ方」「新聞記事の読み比べ」から、「投稿文の書き方」「インタビューの仕方」さらには「新聞社・記者の仕事」といった、学校が独自に設定したテーマもある。小・中学校、高校、大学などの校種、学年によって当然内容、理解度には違いがある。とりわけ小学校低学年の場合は用語、文言や表現に苦労する。いかに内容をかみ砕いて相手に分かりやすく説明するか、いつも頭を悩ます。

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