第15回「いっしょに読もう!新聞コンクール」表彰式を開催
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日本新聞協会は12月14日、第15回「いっしょに読もう!新聞コンクール」の表彰式をニュースパーク(日本新聞博物館、横浜)で開きました。小中高各部門で最優秀賞を受賞した安田学園安田小学校5年の村上正真さん、広島大学附属中学校2年の冨田花音さん、福岡県立東筑高等学校3年の柴田深冬さんに賞状と盾を贈りました。受賞者は、それぞれが選んだ記事を執筆した記者と懇談し、記事に込められた思いに触れました。
社会の課題について考えを深めるきっかけに
表彰式の冒頭、新聞協会NIE委員会の羽根和人委員長(朝日東京)が「コンクールに継続的に取り組んでくれる学校は年々増えており、先生方からは新聞に触れることで、児童・生徒の視野や考え方が広がったとの評価をいただいている」とあいさつしました。受賞者が選んだそれぞれの記事について、「戦争」「社会的孤立・孤独」「バリアフリー」という社会的に大きなテーマにつながっており、「皆さんが身近な経験をきっかけに、社会の課題を自分ごととして捉え、考えを深めてくれたことをうれしく思う」と述べました。よりよい社会の実現に向け、これからも新聞を読んで他者と対話することを継続してほしいと伝えました。
続いて、来賓として出席した文部科学省初等中等教育局教育課程課の上月さやこ教科調査官は、グローバル化が進み多様な価値観が生まれる一方で、国際的な分断や、インターネットにおける「フィルターバブル(検索で見たい情報が優先的に表示され、異なる意見の情報を見聞きしにくくなる現象)」「エコーチェンバー(SNSで自分の興味関心がある情報だけが集まってくる現象)」が進んでいると指摘し、「多くの情報を取捨選択して活用する力を養うのに、身近な教材として新聞が大きな役割を果たす」と新聞への期待を寄せました。続けて、受賞者に対し、「自ら考え、自分の言葉で思いを伝える力がこれからはより一層求められる。受賞を契機に、新聞に親しみ、社会や地域への関心を高めてほしい」と祝辞を述べました。
最優秀賞受賞者への贈賞の後、小原友行審査委員長(日本NIE学会顧問、広島大学名誉教授)は6万1千件を超える今年の審査を振り返り、受賞作に共通するキーワードとして「自己実現」(自分の理想や夢と向き合いながら、成長しようとする姿勢)、「社会貢献」(どうすればより良い社会や地域を作れるか考え、行動しようという意志)、「未来創造」(未来へのビジョンを描きどう歩むのかを考える力)を挙げました。「受賞はゴールではなくスタートだ。新聞を通じて学び続け、自分らしい人生を築いてほしい」と呼び掛けました。
受賞者と記者が懇談
小学校部門最優秀賞の村上さんとの対談で、記事を執筆した朝日新聞社編集委員(広島総局)の副島英樹記者は「日本原水爆被害者団体協議会(被団協)がノーベル平和賞を受賞したタイミングで、思わぬ形で広島のことを発信できる機会を村上さんが作ってくれた」と感謝の気持ちを伝えました。
村上さんは、毎年8月6日に家族で平和記念公園を訪れており、翌7日に原爆や平和に関する新聞記事を探し、副島記者の記事を見つけたと話しました。また、「将来は新聞記者かアナウンサーになりたい」と夢を明かし、今後は自身が被爆について伝える側になりたいと力強く語りました。
中学校部門最優秀賞の冨田さんは、実際に近所の子ども食堂を母親とともに訪ねてみた体験を披露。「祖父母の家で食べるような手作りの温かみのある食事だった。高齢者や幼稚園児、地域の方が和気あいあいと過ごしていた」と感想を述べました。
記事を執筆した中国新聞社呉支社編集部の栾暁雨記者は、子ども食堂について「困っている人が行く場所だと思われてしまうと、本当に助けが必要な人たちが行きづらくなる。行くことそのものが支援になる」と語り、冨田さんが実際に訪問したことについてうれしく思うと話しました。
高校部門最優秀賞を受賞した柴田さんは、障害者支援に興味を持ったきっかけについて「将来の祖母の介護について両親と話し合う中で、介護士不足などの問題を知った。『介護ロボット』を作ることで貢献できると考えた」と説明しました。
懇談した西日本新聞社北九州本社の梅本邦明記者からは、西日本新聞の子供記者をしていた柴田さんに「若い人に新聞を読んでもらうには」との質問があり、「タレントや有名人のコメントを記事に取り入れて、若い人が興味を持ちやすくできたらいいのでは」と答えました。
表彰式終了後、ニュースパーク館長による館内見学ツアーが実施されました。