第2回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作

  1. NIEトップ
  2. NIE月間・いっしょに読もう!新聞コンクール
  3. 第2回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作

最優秀賞

小学生部門

新潟市立女池小学校 4年 佐藤 丞さん

意見を聞いた人
用いた記事 節電 暗い街に星輝く(読売新聞 2011年8月10日付朝刊)
受賞理由

以下の3点を高く評価し、最優秀賞にふさわしいと選考した。

  1. 自己の経験と願いを結び付けて記事を読み込んでいる小学4年生らしい素直さに、多くの審査委員は心をうたれた。
    これは、天体観測しようとしたが星が見えないという経験を基にして、記事中紹介されていた衛星写真で白く浮かび上がっている夜の日本列島に対する驚き、節電の必要性を訴えていることなどに示されている。
  2. 自己の関心にしたがって、母親の子ども時代の星空、祖父の被災時の体験を聞き取る受信力と表現力の高さが評価された。
    きっと母親も祖父も多くのことを語っていると思われるが、節電を徹底すればきっとかつてのような星空を見ることができるのではないかと、焦点を絞って話を聞きとり、自己の考えをまとめている点が優れている。
  3. 満天の星空を見てみたいという自己の願いを震災と結び付け、震災によって「日本人の気持ちが変わり、ぜいたくしていることに気付きました」と示しているように、広い視野から考察し提案している点も高く評価された。

中学生部門

仙台市立折立中学校 3年 永野 綺咲さん

意見を聞いた人 父、母
用いた記事 食料配給 見直し苦慮(河北新報 2011年8月4日付朝刊)
受賞理由

以下の3点を高く評価し、最優秀賞にふさわしいと選考した。

  1. 震災後の様子を被災者の立場から記事を読み、父母と話し合っているところが大変優れている。
    永野さんは家族の置かれた現状を直視しながら、他の被災者に思いを寄せ、被災者の視点で鋭くこの記事を読み取っている。
  2. 父母との話し合いを通して、家族の現状と未来を他の被災者と重ね合わせて考える想像力の豊かさも、優れていると評価された。
    父母の語る言葉以前に、永野さんは家族が置かれている現状をつぶさに見てきたであろう。この記事を読んで、自分の家族が抱える問題を、多くの被災者が抱えている問題とつなげて考えている。自立が健全であることはわかっているが、そうできない現実があることを主張する永野さんの問題提起に心を打たれた。
  3. 文章の「心を寄せて支援」の言葉に込められた被災者の立場からの筆者の願いと、記事への批判的な読みも優れたものがある。
    自立するとは食べ物を自分で確保できるかどうかの問題だけではなく、仕事の有無の問題であり、それは「生きている事を実感する事」につながるものであると永野さんが述べているように、被災者が求める支援と記事で述べている自立前提の支援との乖離(かいり)を、中学生なりに批判を込めて読み取っているように思われる。「寄り添うような支援」や「心を寄せた支援」が必要だという永野さんの提案は、社会に対する問題提起であると受けとめた。

高校生部門

(東京都)東京女子学園高等学校 2年 内田 絢子さん

意見を聞いた人 父、母
用いた記事 15歳未満初の脳死移植 コーディネーター明かす(朝日新聞 2011年4月24日付朝刊)
受賞理由

以下の3点を高く評価し、最優秀賞にふさわしいと選考した。

  1. 臓器移植問題について割り切らず、真剣に粘り強く考え続けようとしている点が高く評価された。
    父母との話し合いを通して、この問題の難しさを実感し、自分なりに考えを深めようとしている。日本臓器移植ネットワークへのドナーカードについての問い合わせも、内田さんが真剣にこの問題に立ち向かおうとしていることの表れである。
  2. 父母の意見を聞き、内田さんなりに具体的な提案を考えようとしている。
    保健の授業で臓器移植問題やドナーカードについて扱うことや、臓器移植推進月間の充実を提案していることもその一つである。記事についての父母との話し合いが、より深くこの問題に正対させている。コンクールの趣旨に合致する文章である。
  3. 記事の読みの深さと考察において大変優れていると評価された。
    「折り鶴」に込められた家族の願いを深く読み取り、この問題について考察の深まりを促している。記事から問題意識が芽生え、さらに記事を深く読むことによって、自分なりの考察へと発展していることがよく伝わった文章である。

また、以上の結果、他の学校種と比べても各審査委員の評価が最も高かったことが、評価内容を如実に物語っている。