“先生”体験から考える

授業は毎回オーダーメード

 私とて専任ではなく、前回の授業から数か月のブランクが空くことも珍しくない。これでは手探りと手探りのがっぷり四つ。結局のところ、リクエストの内容は「新聞の読み方と作り方」に集約されるのだが、学年や児童の数、授業のコマ数、具体的な目的(例えば、調べ学習の成果を新聞形式でまとめたい)などを勘案し始めると、授業内容は毎回「オーダーメード」になっていく。弊社オリジナルのテキストを軸にしながら、訪問先の学校が登場する記事はないか探したり(例文として使う)、以前の授業で使った資料を読み返したりして授業案を組み立てていく。

 振り返れば、演劇をやっていたころは台本をきちんと覚えてから舞台に上がるタイプだった。その習性が抜けないのか、出前授業のレジュメには取材現場での経験談や小ネタまで書き込んでしまう。当日、学校に着いてからの簡単な打ち合わせでは、近所の駄菓子屋の名前などを先生から聞き出す。これは、宇都宮で開かれるコンサートやライブで、出演者は必ず当地名物のギョーザの話題を挟んでくることからヒントを得た作戦だ。

 びっしりと書き込んだレジュメを手に、いよいよ舞台、いや、教壇に立つ。読者の皆さんが予想されている通り、時間が足りなくなる。45分の授業なのに、自己紹介と導入部分だけで20分が過ぎていたこともあった。

次のページ >> 見出し作りで「物事の多面性」を実感