“先生”体験から考える
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新聞でコミュニケーション力向上
大学生向けの出前授業は、講義形式だけではない。新聞記事のコピーをもとに原発再稼働や消費税率アップの是非などについて、学生たちに議論をしてもらう双方向型の授業だ。就職試験や面接試験を念頭において、コミュニケーション力や時事問題への対応力を身につけさせるのがねらいである。
福岡工業大学(福岡市東区)の出前授業では、家族や友だちなどと新聞記事を読んで、意見交換を行った後、見識が深まった自分の意見や感想などを書いてもらっている。主に1年生の学生が対象だが、800人以上がリポートを提出。大学側と共同でコンテストを実施し、優秀な学生の作品は「新聞コミュニケーション大賞」として表彰している。
この試みに対して、同大の下村輝夫学長は「気になる新聞記事について第三者と意見交換することで、コミュニケーション力が身につく。社会についての見識も広がるのは間違いない」と語る。
こうした出前授業に出かけてうれしいのは、学校から子どもたちの感想文が送られてくることだ。
「いろんな情報が載っていることが分かった。これからは新聞を毎日読んでみたい」
「先生の話を聞いて、新聞記者という仕事に興味がわいてきました」
どうすれば、子どもたちに新聞の面白さを伝えられるか。試行錯誤の毎日だが、NIE(教育に新聞を)は、私たち記者が教室に出向く実践から始まると思う。
筆者・プロフィール
- 溝越 明(みぞこし・あきら)
- 西日本新聞社こどもふれあい本部チーフアドバイザー
「新聞研究」2016年10月号掲載
※肩書は執筆当時