“先生”体験から考える
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「教育の素人」の役割
教材を考案した時、こんなに理論的な意図はなかった。むしろ私が教育の素人で部外者だからできたのだろう。例えば毎日学校で一緒の教師が突然、新聞の授業でだけ「ルールはどうでもいいよ」と言ったら子供は戸惑う。異端な手法は、外部の出前講師が使って教室を刺激した後、教師がうまく引き継いで子供を次のステージに導くから成立するのだ。
そうか、私は通りすがりの触媒なんだ。教育の素人の役割をようやく実感できた。実は他にも「記事を書く最初は、誤字脱字、ひらがなOK。文章の始まりが浮かばなければ、最後だけ書いてもいい」という、一切のハードルなしの原稿執筆実習も展開中だ。先生の了解の下、きょうも触媒が学校に行く。どかんと刺激した後は「先生、よろしく頼みます」。
筆者・プロフィール
- 渡辺 多美江(わたなべ・たみえ)
- 北海道新聞社 NIE推進センター長
「新聞研究」2018年6月号掲載
※肩書は執筆当時