“先生”体験から考える

通りすがりの触媒として――刺激を与えて先生に引き継ぐ

 「国語の単元に合わせて、新聞づくりの授業をお願いします。アイヌについての調べ学習で博物館への社会見学があり、そのまとめ学習にも生かしたい。実習も入れたいです」。こんな依頼で、昨年、ある小学校の4年生2クラス68人に2コマの出前授業を行った。

 新聞のプロであっても教育については素人だから、授業の組み立てや教材には毎度悩む。この時は「つまり、ぶきっちょな子にも新聞づくりは楽しいと思ってもらえればいいのね」とざっくり解釈。自作の教材「新聞福笑い」を提案した。

 「新聞福笑い」は、プリントに並べた大小さまざまな写真と見出し見本を、子供たちが自由に切り取って台紙に並べ「うそっこ新聞設計図」をつくるもの。素材を仮置きする中で「大きな写真、見出しばかりだと記事が入らない」「小さい写真では見栄えがしない」など、自分なりに新聞のイメージを体感し、さらに友達とも交流させようという狙いだ。

 1時間目に新聞の特徴とつくり方全般を図解し、2時間目が新聞福笑いだ。

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