“先生”体験から考える

「うそっこ」の効用

 後日、先生から手紙をいただいた。

 「新聞づくりの得意な子はレベルアップした自分に自信を持ち、苦手な子は完成できた達成感に満足していました」「子供たちの集中力や目の輝き、友達との交流は理想的な時間でした」「他の教科でも、事実と感想を分けて書いてごらん、などと新聞づくりで学習したことを生かすことができました」

 実際のまとめ新聞(ホンモノ)ができた時は上級生の6年生が参考に見に来たそうだ。私はもちろん、学校の先生にとっても刺激的な出来事だったようだ。

 この「新聞福笑い」は、これまでに小学校の中学年以下の授業に何度か取り入れ、いずれも大好評だった。

 なぜか。素人なりに考えた。子供たちが遊びから新聞づくりに入れたからではないか。

 新聞づくりの約束事の「5W1H」「事実を正確に」「レイアウトの基本」などは、定番授業では王道メニューだ。しかし新聞デビューの子供たちにとって、単なる知識は無意味でつまらない。やりたくない。だから「新聞は難しい、大変だ」となる。

 「うそっこ」の見出しと写真と原稿なら面倒な制約がなくなる。子供たちは1枚の紙の上で自由を得た。遊び感覚で「かっこいい新聞」を工夫し、結果的に新聞のお約束を楽しく体得していった。

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