“先生”体験から考える

硬質な文章を読む機会が必要

 中学や高校も当然、痛感し、すでに動いている学校もあります。横浜市は、未来の科学者を地元で育てようと市立横浜サイエンスフロンティア高校を設けています。同校の学力検査では、長い問題文を読ませる設問が多く出題されています。相当の読解力、文章力が身についていなければ、国際社会で活躍できる科学者にはなり得ないという理念があるからです。この一貫した姿勢を評価する教育関係者は少なくありません。

 「高度なコミュニケーション能力が求められるグローバル社会だからこそ、国語の力がますます要求される」という考え方は、先の大学教授にも共通しています。「だからこそ硬質な文章を読む機会が必要です」と。子どもたちに受け入れられないとしたら、受け止める知を十分に育てていないことに問題があるといえるかもしれません。

 子どもたちの中には豊かな言葉が潜在しています。キャリア教育やコンクールを通して確かに実感できます。それを引き出す教育に、新聞や出版はもっと貢献できると感じます。

筆者・プロフィール

丸山  孝(まるやま・たかし)
神奈川新聞社 統合編集局編集委員・教育担当
神奈川県NIE推進協議会 事務局長

「新聞研究」2018年4月号掲載
※肩書は執筆当時