“先生”体験から考える

新聞とのすてきな出会いを――先生との連携を通じて

 「家で新聞をとっている人は手を挙げてみてください」。小学校を中心に中高、大学と出前授業に行く先々で尋ねている。5、6割も手が挙がればいいほうで、大学生ともなると購読者は極端に少なくなる。デジタルメディア隆盛の時代に、いかに新聞の魅力を伝え、興味、関心を持ってもらうか。子どもたちに向き合う中で、模索する毎日である。

 現行の学習指導要領で教育への新聞活用が奨励され、2011年、小学校を皮切りに教科書にも新聞の単元が盛り込まれた。出前授業の依頼が増え始めたのもこの頃からだ。新聞は、今の子どもたちにとって家庭で目にする暮らしの必需品ではなく、教科書で初めて知る教材になりつつある。初っぱなの出前授業の出来不出来で、新聞好きにも新聞嫌いにもなるのだとすれば責任は重大である。

 5年生の国語の単元「新聞を読もう」の内容は、逆三角形の記事スタイル、見出し、紙面の割り付け、記事のスクラップと多岐にわたる。本来なら数回に分けて学ぶべきボリュームだが、出前授業にいただける時間は1コマ(45分)か、多くて2コマだ。どうしても早口の詰め込み授業になってしまい、どれだけ伝わったのかと反省することも多かった。

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