“先生”体験から考える
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世界が広がる魅力をどう伝えるか
新聞は社会に開いた窓だ。それを改めて実感させてくれたのは高校生の文章だった。スクラップコンテストのノートの最後に、夏休みの取り組みを通した感想があった。「スクラップをやる前と後では知識の量が全然違うし、見えてくる景色も違う」。自分が知らなかった島が沖縄にあること、医療が必要な幼児が通園できないでいること、暑いから向くと思っていた沖縄でコーヒーを育てるのが難しいこと。一夏で彼女の世界が広がってきたことが分かる。
別の中学校の教師から聞いた話も忘れられない。「今の子は家に帰ってもSNSで学校の友達とつながっていて、ずっと学校でのキャラクターを演じ続けている」
窮屈な同年代の世間に身を置きながらも、新聞で広い社会をのぞくことができる。それをどう魅力的に伝えるか。こちらも次のステップに進まなければならない。
筆者・プロフィール
- 安里 努(あさと・つとむ)
- 沖縄タイムス社 NIE事業推進室事務局長
「新聞研究」2018年1月号掲載
※肩書は執筆当時