“先生”体験から考える

切り抜き新聞づくりで意見交換

 生徒像を描いてはみたものの、手持ちの授業ネタは限られている。新聞の現物を持ち込み、見出しを読み、気になった記事についてグループで意見交換、その後切り抜き新聞をつくる─―のが普段の流れ。その中で、生徒同士のコミュニケーション活性化を主目的に据えて、まずはやってみようと考えた。

 訪れたのは県立の普通科高校。2学年480人余りが体育館に座り込んで新聞を開いている光景は壮観だった。切り抜き新聞は「勇気」「絆」など、抽象的なテーマで記事を選ぶ。その方が解釈に幅があり、人によって捉え方が多様なことに気付くからだ。同じ記事を「勇気」と読む人もいれば、「絆」を見つける人もいる。好きな記事を強引にテーマに寄せてくる力業も見ていてほほ笑ましい。

 テーマに合う記事を各自が手元の新聞から選んで切り抜き、記事が出そろったら編集会議が始まる。テーマに一番ふさわしい「トップ記事」を話し合いで決める。一推し記事を説明する表現力、他者の意見を踏まえて再考する力が問われるが、メンバーの人間関係や熱意によっては単純な多数決でさっさと作業を進めてしまうグループもある。

 その高校では、男女交じったグループも意見交換ができていた。感想を聞くと「一人だと読み流すけれど、グループで話しながら記事を読むと、考えを整理して伝えなければならないので、考えるきっかけになった」と、こちらの狙いは一定程度達成されたようだった。

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