“先生”体験から考える
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社会の窓から吹く風
子どもたち、特に小中学生は義務教育という卵の殻や孵化(ふか)器に守られている。外部講師による授業には、子どもたちに少し外の空気を吸わせ、風に当てるという意味があるのではないか。厳しすぎる外気ではなく、適度な社会の風に徐々に慣れさせる。国の教育行政の方針も近年は「これからの社会で生き抜く力を培う教育」を目指している。小学校での英語やコンピュータープログラム教育の推進は、グローバル化する世界に後れを取るな、という姿勢の表れか。人口減少、経済縮小も予測され、高校生、大学生、社会人を含め社会全体が対応を迫られる。
かつて新聞社は「職種のデパート」と呼ばれた。今もさまざまな職種の人が働いている。新聞紙面を作る整理部の仕事はよく料理店のシェフに例えられる。記事、写真、図表、イラストなどの素材を食材として、見出しで味付けをし、料理を盛り付けるように紙面に配置する。私は小学校では「新聞社の仕事は弁当屋さんに似ている」と例える。記者や通信社は漁師や農家、食品会社、食材輸入商社で、記事という食材を集める。出稿部デスク、整理部デスクは編集会議を経て、整理部面担が紙面を作り、印刷部門、発送部門を通り梱包された新聞が商品として購読者に配達される。「整理部記者は紙面を作る時、弁当箱にご飯やおかずを詰めるようにコンピューターの画面上で組み上げます」と話し、多くの人が携わって新聞が作られ、家庭や学校に届くことを想像させる。後日、児童から届く授業の感想文では、多くの子が「分かりやすかった」と書いてくれる。
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