“先生”体験から考える

新聞閲読の効果

 家庭や学校で新聞閲読する効果について、よく聞かれる。文部科学省が毎年、小学6年生と中学3年生を対象に実施する全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果と分析を見ると、児童・生徒が新聞を読む頻度と得点の相関性が指摘されている。毎日のように読む子どもの正答率が高い傾向がある。新聞社としては、新聞を全家庭で読んでもらえるのが望ましいが、残念ながら自宅購読は減る傾向が続いている。一方で学校の各学級での新聞閲読がもっと普及すれば、現場の教師が一番、教え子の成長を実感するはずだ。テストの点数向上に限らず、社会事象や時事の話題に自分の意見を持って発言したり、意見文を書いたりする教え子を見れば、成果は明らかになる。

 新聞は教科書に載っていない時々刻々と動く世の中を伝える。子どもたちにとっては、まさに「社会の窓」の役割を果たす。毎日の紙面に載るのは慶事、善行や美談の記事よりも、悲惨な事件や事故、こんなことはしてはいけないという記事の方が多いかもしれない。表現上の配慮は当然するとして、なるべくありのままの情報を提供することが大切だ。読者は各自の判断で記事や評論を読み解く。吟味し批判的に読み続ける練習も必要だ。

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