“先生”体験から考える

生きるための知恵を学ぶ――時々刻々動く世の中を伝える新聞の効用

 学校教師は大変な仕事だ。私は2016年春から小・中学校、高校、大学で出前授業の講師を務めて、あらためて痛感する。ある中学校では1日で4コマ、教室を移動して授業を受け持ち「新聞の読み方」「新聞社・新聞記者の仕事」について話し、へとへとだった。

 学校から新聞社への出前授業の出講要請は、いろいろなケースがある。主なテーマは「新聞の読み方」、キャリア教育の対象職種としての「新聞社の仕事」、ほかには「進学・就職への新聞活用法」。近年は「東日本大震災の時、困難な状況での新聞発行」、16年の公職選挙法改正で18歳選挙権が始まったことを契機にした「主権者教育への新聞活用法」など。講師は編集局や支社局の記者経験者から人選する。

 青森県では出前授業の追い風となる動きがある。17年度8月までに、県内40市町村のうち14市町村が、公立小中学校の希望を聞いて新聞購読を公費予算から補助している。小学校はおおむね中学年以上が対象。中学校は全学級に複数銘柄の新聞を置く市もある。少子化が進み、学校統廃合や学級数減少が続く中、自治体のトップの決断で、全学級購読が実現しやすくなってきたようだ。

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