“先生”体験から考える

情報化社会にこそ 選び抜いた題材を伝える

 インターネットの出現で大量の情報が世界を駆け巡る今日、本当に重要な情報は何か、事実は何かを見極めることが難しくなっている。そんな中、長い歴史を生き抜いてきた新聞は、今なお信頼性の高い媒体であると言えるだろう。足りない部分、批判される部分は確かにある。それをも含めた一つの素材として、新聞は「言葉の力」を子供たちに伝える武器であり得ると信じている。

 たくさんの情報を詰め込むという従来の新聞の在り方は、もしかしたら変化を求められているのかもしれない。世界に情報があふれているからこそ、一つの紙面に載せる記事数を絞り込み、選び抜いた題材を詳しく、分かりやすく提供する。そうすることによって、新聞はその日に伝えたいニュースをさらに明確にし、力強く読者に訴えることができるのではないだろうか。新聞教室の内容もより濃くなり、子供たちの目に映る世界はもっと広がるだろう。新聞教室で子供たちと出会い、そんな新聞の可能性への思いを強くしている。

筆者・プロフィール

齊藤 敦(さいとう・あつし)
秋田魁新報社 読者局総務NIE・読者交流担当

「新聞研究」2017年8月号掲載
※肩書は執筆当時