“先生”体験から考える
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生産者の姿を見せる場の一つとして
さまざまなメディアの長所と短所を知り、必要な情報を取捨選択していくことを学校教育で学ぶ世代。情報の発信側が常に選択の場にさらされる。そんな時代に、出前授業を通じて発信者の顔を読み手に見せるということは、新聞側にとって大きなメリットではないだろうか。農産物を例に取ると、生産の履歴や生産者の顔が分かることが、生産物の付加価値を高める役割を果たしているように。
消費者が商品、サービスを選ぶ動機はその質と価格だけによるものではなかろう。供給側とのコミュニケーション、信頼関係の持続によって選ばれることも多々あろう。新聞記事の署名添付が進み、読み手も作り手の顔を想像しやすくはなってきた。しかし読み手のコミュニケーション欲求を満たし、新聞に親しみを持ってもらうには、もっとさまざまな発信があっていい。ネットと新聞、どっちがフェイクか。食わず嫌いで決めるのではなく、せめて作り手と直に相対してその姿を見て、話を聞き、空気を感じて判断してほしい。もしそれで魅力を感じてもらえなければ、ひとえに私の不徳の致すところ─。そう考えながら授業に臨んでいる。
筆者・プロフィール
- 宗岡 博之(むなおか・ひろゆき)
- 大分合同新聞社 GODOジュニア編集部
「新聞研究」2017年6月号掲載
※肩書は執筆当時