“先生”体験から考える

“生産者”の顔が見える新聞に―出前授業は出会いの場

 2016年4月にNIE推進室に配属されてから、大分県内の学校で出前授業をする機会が増えた(NIE推進室は17年度から、NIE推進部とGODOジュニア編集部にそれぞれ独立)。新聞の特性や魅力を子どもたちに伝える一方、教えることを通じて自らもあらためて気付かされ、教えられることも多い。いくつかの出来事を振り返ってみたい。

 小学4年生を対象に、新聞各面や記事の構成などを話したときのこと。「新聞を開いて、気に入った記事や写真を探してみてください」と言うと、子どもたちは一心不乱に新聞を読みあさり、中には机では広げるスペースが足りなかったのか、床に新聞を広げて食い入るように記事を探す子もいた。あまりの熱心さに感心していると、授業を受け持つ先生から、その子は普段の学習意欲や狭義の“学力”はそう高くないことをこっそり教わった。新聞にはそういった子の意欲をも高める魅力があるのか─。たとえ一時的であろうとも、新聞が意欲の種になったのであればありがたい。

次のページ >> 新聞と“ガチ”で向き合う子供たち