“先生”体験から考える

出前授業で伝える“紙のチカラ”

 以上に挙げた学校現場での経験は、新聞の機能やインパクト、ポテンシャルを自分があらためて学ぶ機会になっている。一方、新聞について子どもたちが知りたいことを、自分はうまく話せているだろうか。子どもたちよりも学びが大きくなってしまうのでは本末転倒で、子どもたちに申し訳ない気もする。

 「フェイクニュース」「ネットde真実」などの言葉が出て久しい。今の児童、生徒が新聞というメディアをどれだけ認知、活用、信頼してくれているかは正直、分からない。認知という面で「活字離れ」という言葉以上の危機感を持つことも結構ある。ただ、出前授業を通じて目の前に現れ、新聞を開いてくれる児童、生徒はとても素直だ。予想以上の反応を返してくれるので、出合いの場さえ設ければ“紙のチカラ”を理解してもらえるという手応えを得られる。その場一時の感触で語るのはとてもおこがましいことだと分かってはいるのだが。

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