東日本大震災を新聞活用で学習

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児童に示した新聞記事

道徳授業の板書

震災を「自分事」として考えるために

あの東日本大震災から6年が過ぎました。近頃では、被災地が復興に向かって確かな歩みを進めているうれしいニュースが流れている一方で、原発の問題など、まだまだ解決のめどが立っていない問題も多く報道されています。東日本大震災後から、積極的に学校の授業で震災を取り上げた授業を行ってきました。児童に聞くと、震災当時の記憶がある子が3分の2、記憶がない子が3分の1ぐらいです。きっと、震災のことを覚えている最後の世代になるのではないかと考えました。今回は、担当する児童と国語科の授業を中心として、震災を取り上げた学習にチャレンジすることにしました。

まず、児童に震災に関する意識を高めてもらうために、学年の掲示コーナーに、東日本大震災関連の資料を掲示することからスタートしました。震災があった次の日の新聞各紙や、新聞社が作っている震災関連の資料を掲示しました。児童は、掲示板の近くを通るたびに、興味深そうに掲示を眺めていました。

そして、今年に入ってから新聞各紙が、阪神淡路大震災や東日本大震災に関する記事を多く掲載するようになりましたので、記事を積極的に紹介しました。毎朝取り組んでいる「新聞トーク」の時間に記事を紹介し、児童と意見交換しました。実際の新聞には、被災地の方の生の声や様子が掲載されているので、児童はリアルな現実に触れることができたと思います。

また、学校で使われている道徳の資料にも震災を取り上げたものがあるので、この時期に合わせてその資料を活用した授業を行いました。テレビのニュースなどでも震災関連のものが増えていたので、次第に児童の意識が高まってきました。

これまでの活動で、児童は震災に対する意識を高めてきました。しかし、児童にとっては、まだ遠い被災地のことであり、自分に関連したことになっていませんでした。そこで、国語科の授業を活用して、東日本大震災のときに、自分は、そして家族はどうしていたかを思い出す活動を行いました。

当時は小さくて、記憶があまりない児童もいますし、保育園でお昼寝をしていた児童もいます。そこで、保護者の方に協力していただき、一緒に思い出してもらいました。児童は、自分の記憶と、保護者の方へのインタビューをもとに当時の自分たちの様子について思い出しました。

「ぼくは、幼稚園のバスの中にいました。バス停がすごく揺れていました。」

「お母さんと洗濯物をほしていました。すごくゆれるので、とにかく机にもぐりました。」

「僕のお父さんは車の運転をしていました。ずっと家族は無事か考えていたそうです。」

「東武線の中にお父さんはいたそうです。電車が急停止し、左右にゆれていたそうです。」

このような当時の様子を紹介し合うことで、児童は震災を「自分事」としてとらえられるようになってきました。そして、被災地の方は今どうしているのか、被災地はどうなっているのかという疑問をもつようになりました。

その後の学習で、震災当時からずっと被災地の取材をしている新聞記者を招いて、震災当時の様子や被災地の今の様子について話していただくことになりました。児童は記者に質問したいことをたくさん考えていました。児童との震災を取り上げた学習は続きます。

菊池 健一(さいたま市立海老沼小学校教諭/NIEアドバイザー)(4月21日)