2014年度 特別支援教育におけるNIE③ 「新聞の株価欄から経済学習を楽しむ特別支援学級(知的障害)の生徒」

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(新聞の株価欄に目を通す生徒)

 特別支援学級を担当して5年目である。担当して実感することは子供たちの純粋さ、素直さ、やさしさ、真剣さである。それは、たとえ学習に遅れが出ていても、純粋に「頑張ろう」という意欲が伝わることが多いからである。

 特別支援教育において、いかに社会に適応して生活していく力をつけるかが大切だと考える。卒業後も1人で生活できる力、1人で働くことができる力を育成することが求められる。

 中学校でも職場体験学習等の活動を通して、障害者施設等の福祉関連施設訪問を経験させることが多い。ただし、それで、社会に対する視野が十分広がったとはいえない。もっと数多くの学習活動場面で社会に目を向けさせいく必要性を感じる。                        

 特別支援学級の社会科では、中学1年時から新聞の株価欄を活用して経済学習を行う。企業とくに株式会社のしくみや働きを理解する上で、新聞の株価欄を活用する。新聞を活用することで、株価の存在を具体的にイメージすることができる。さらに、生徒自身もバーチャルながら株式を持つことで経済活動の一翼を担おうという意欲につながる。そこから、2000万円の資金を持ったという想定で行う「株式学習ゲーム」(日本証券業協会主催)に参加する。

 このような一連の学習活動を通して、実際の経済活動の株価変動の意味を理解できるようになる。一般的に株式に関する学習は難しく、まして、特別支援学級の生徒にとってはなおさらハードルが高いと考えられがちだが、生徒は意外と興味・関心を持って学習に参加する。それには新聞の株価欄の活用が役立っていると考える。新聞の株価欄を見ると、社会にはさまざまな企業が存在することが理解できる。そして、多くのなじみのある企業が新聞の株価欄に見られる。そのことで、株式に対する親近感を持つとともに、株式学習ゲームを通してさらに楽しく株取り引きを体感することができる。知的障害特別支援学級の生徒一人ひとりに経済学習のおもしろさを知る契機を与えてくれたのは新聞の株価欄ではなかっただろうか。

 「先生、〇〇の株が上がっているね」「僕の株は1000万円より上がってきている」「どうして、この株は下がったの?」等、楽しく経済学習に参加する生徒を見て、新聞は経済を知る、社会全体の動きを知る上で有益な学習材であることが分かる。難しそうに思える経済の学習も新聞を通して、自分たちの身近な生活と関連していることに気付かせてくれるのではないか。

 これからも、特別支援教育における新聞活用を通して、幅広く社会に目を向けられる生徒の育成を図っていきたい。

 

鹿児島市立城西中学校 知的障害特別支援学級担任 福丸恭伸(7月10日)