特別支援学校におけるNIE⑬ 筑波大学附属桐が丘特別支援学校高等部の実践

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 筑波大学附属桐が丘特別支援学校高等部では、新聞記者の方にご協力頂いて、次のような授業を行いましたので、ご紹介いたします。

 タイトルは、「記者から学ぶ―記者の視点と新聞ができるまで-」です。「新聞作成を通じて情報を集め、発信しよう」という単元で、「新聞・インターネットなどから情報を集め、必要な情報を整理することができる。」「集めた情報を理解し、自分の意見を述べ、伝わりやすく表現できる。」というねらいで取り組みました。
 高等部2年生の「選択政治経済」の授業で、1学期と2学期をあわせて計17時間取り組みました。

 授業は次の流れで行いました。
(1)新聞のコンセプトを決める。(新聞名、編集長・だれを読み手と考えるか、どんな内容がいいかを話し合った)
(2)十勝毎日新聞のHPの「記事制作の手順」を参考に、企画・紙面の検討を行う。
(3)担当の記事を決め、新聞のクリッピングを行う。(切り抜きが難しい生徒もいるので、内容を「事実」「自分の意見」「疑問」で色分けして集めた)
(4)集めた事実をもとに、記事を再構成。校内に向けたアンケートの実施。(内容、集計方法・対象の検討)コラム担当は自分の意見をまとめる。
(5)レイアウトを決める。(画像の収集・アンケートの集計含む)
(6)大体の紙面を構成する。(教員作業)
(7)事前に紙面確認を毎日新聞社記者派遣担当の方にお願いし、アドバイスを受けたい旨を伝える。
(8)記者の方から、紙面構成のコツや作成中の新聞へのアドバイスを受ける。
(9)アドバイスを受けて紙面を再度手直しする。
(10)完成

 当初は記事のクリッピングを行う予定でしたが、大きな紙面を扱うことが難しいため、生徒の実態に応じて、要点をしぼってふせんに書く形をとりました。授業者から記者へのアポイントは2か月前ほど前に行い、今までの新聞づくりの途中経過を報告し、当日生徒たちにアドバイスを頂けるようにお伝えしました。

 授業を終えて、生徒たちからは「新聞づくり・新聞用語・記者の苦労が分かりやすく身近に感じた。」「結果から分かりやすく伝えることの大事さが分かった。」「自分の意見は記事や見出しに入れてはいけないことが分かった。」という気づきや感想が挙がりました。
 また、毎日小学生新聞に記事が掲載されたことで、自分たちの学習活動がどのような記事になるのか知ることができたことは貴重な体験だったようです。

 生徒たちは記者の方から実際に新聞社の仕事や記事をつくる過程での苦労を聞くことができ、より新聞を身近に感じたようでした。記事を書く上で大事なこととして客観的な情報を集め、個人的な意見と分けて述べることだと認識できたことは、生徒たちがこれから社会に出て、様々な事象をとらえ、自らの意見を形成するうえでとても大事なことだと感じました。
 課題としては、
(1)肢体不自由児のクリッピングの工夫
(2)校内アンケートの内容や対象を厳選すること
(3)記者との事前準備はポイントを絞って明確にねらいを伝えること
(4)記者からの取材を受けるための校内・家庭向け承諾書の作成などを手順化すること、などが考えられます。有効的に外部の講師を活用し、学習活動を豊かにするためにも新聞を活用する学習に取り組んでいきたいと考えています。

 

筑波大学附属桐が丘特別支援学校教諭 新洋子(2月5日)