市民性育成に新聞

子どもたちの市民性(シティズンシップ)を育成するために、新聞をどのように活用するか――国立教育政策研究所が昨年度進めてきた教材開発プロジェクト(研究代表者・下田好行総括研究官、現明治学院大学教授)の研究報告書がこのほど発刊されました。主題は「キー・コンピテンシーに基づく学習指導法のモデル開発に関する研究」という三次にわたる基礎研究の一環で、今回が最終報告になります。研究には関東地区の小・中学校のNIE実践教師15人と、吉田武男・筑波大教授、関口修司・東京都北区立東十条小校長、梅田比奈子・横浜市教委指導主事と赤池が協力者として参加しました。

とかくフィクションや寓話を題材に行われる道徳教育の枠を広げ、「子どもたちが現在直面する、あるいはこれから遭遇するであろう課題」から、市民性教育につなげようという試み。15人の教師は、OECD(経済協力開発機構)が「知識基盤社会」を担うキー・コンピテンシー(主要な能力)と定義する(1)相互作用的に道具(知識や情報・技術など)を用いる(2)異質な集団で交流する(3)自立的に活動する――を実践しながら半年間研究を行い、毎月一回文部科学省で研究の進展や課題を共有・確認する会議を開きました。

•「お家の人に公園のよさが伝わる「きらきら新聞」をつくろう」(横浜市立本町小2年、深沢恵子教諭)
•「ふるさと活性化プロジェクト」(静岡市立中田小3年、中村都教諭)
•「ケータイを安全に便利に使うコツはなにか」(さいたま市立鈴谷小4年、菊池健一教諭)
•「これからのわたしたちの『食』を考えよう」(東京都江戸川区立篠崎第五小5年、庭野優子教諭)
•「わたしたちの健康~50年後をどう生きる?」(東京都中野区立桃花小5年、松井敏教諭)
•「こちら新型インフルエンザ研究所」(東京都世田谷区立上北沢小5年、羽賀絹恵教諭)
•「社会の問題解決に取り組む人に学ぼう」(水戸市立寿小5年、亀谷裕信教諭)
•「今、輝いている人を追跡」(東京都目黒区立油面小5年、鈴木裕二教諭)
•「ぼくらの21世紀未来予想図を創ろう」(千葉県市川市立塩焼小6年、武藤和彦教諭)
•「幸せとは何かを考えて」(茨城県かすみがうら市立下大津小6年、板垣圭一教諭)
•「未来に向けてのハローワーク」(東京都武蔵村山市立第五中1年、河太久哉教諭)
•「内容の伝わりやすい新聞を作るには」(栃木県上三川町立本郷中2年、小島英明教諭)
•「将来設計に活きる実社会の知恵は?」(群馬県太田市立生品中2年、松橋美智子教諭)
•「食と私たちの命に見られる関係とは?」(川崎市立川崎中3年、久保田聡子教諭)
•「本当の豊かさとは?」(千葉県香取市立佐原第三中3年、松井初美教諭)
※ 学校名・学年は当時

報告書には以上の研究結果が掲載され、教育委員会や主な大学図書館などに配布されています。文科省のホームページにも掲載される予定です。

財団NIEコーディネーター 赤池 幹(4月14日)