実践指定校実践例 2014年度

古から今に生きる言葉たちを探ろう~故事成語より~

飯田市立竜峡中学校(いいだしりつりゅうきょうちゅうがっこう)

教科、科目、領域

中学校: 国語
学年 中学 1年
今に生きる言葉
生徒にとって遠い存在である古典学習を,身近な新聞を扱うことで,新聞記事にも故事成語が使われていることを知り,古典をより身近に感じることができる。
①新聞記事から故事成語を探す。②新聞記事に使われている故事成語の使われ方や意味を考える。③新聞記事に使われている故事成語を参考にし,体験文を書く。
新聞活用学習

単元を貫く言語活動「故事成語を使って体験文を書こう」
学習活動1.「矛盾の文章を読み,意味や成り立ちを理解しよう」(1時間)
2.「新聞記事から故事成語を見つけ出し,新聞での使われ方を考えたりしよう」(1時間)
3.「前時調べた故事成語の体験文を書き,成り立ちや意味と合わせて発表し,友達と交流しよう」(1時間)

第2時~新聞から故事成語を見つけよう~

本時の主眼「矛盾の成り立ちや意味を理解した生徒が,別の故事成語を新聞から見つけ出し,その成り立ちや意味を調べる場面で,故事成語が記事の中でどのような意味で使われているか考えたり,ペアで話し合って全体で交流したりすることを通して,新聞での使われ方を理解し,故事成語が今も身近な生活の中で使われていることがわかる」
1「前時までの内容と本時の確認をする」・故事成語は身の回りでどのようなところで使われているか問いかける。学習課題「故事成語の成り立ちや意味を調べ,どんな意味で使われているか考えよう」
2「故事成語を新聞から見つけ,成り立ちや意味を調べる【新聞】【学習カード】」・成り立ちや意味は資料集で確認することを伝える。・机間指導の中で,よいまとめ方や表現の仕方をしている生徒を認める。
3「新聞での使われ方を考える」・その新聞にその故事成語が使われている理由をペアで確かめ合う。
4「調べたことを全体発表する【新聞】」・わかりやすくまとめている生徒を指名し,全体に広げる。・どのような意味で使われているか明確にさせる。
5「本時の自己評価をする【自己評価カード】」・本時のねらいに迫れた生徒の自己評価を全体の場で発表させる。・故事成語は現在の新聞にも使われ,今も生き続けていることを押さえる。本時の評価「記事の中でどのような意味で使われているか理解し,今も身近な生活の中で使われていることがわかる」

・新聞記事は生徒にとって身近な話題で,読みやすいテーマのものを選ぶ。・となりのペアと同じ記事を配布する。・故事成語を新聞から見つけ出せない生徒には,見出しに注目させる。・新聞は見出しと写真,一段落目がつながっていることを確認する。・どんな意味で使われるか考えられない生徒には,「記事に使われている理由」を考えさせる。・意味を説明できない生徒には、「〇〇とは~~のようなときに使われる」と定型文を示す。

自己評価カードより「新聞の中にも故事成語が使われていたことに驚きました」「身近な新聞にも故事成語がたくさん使われていて驚きました。調べた内容と合っていました」「切磋琢磨がどんな意味のものかがわかった。圧巻が故事成語だとは思わなかったのでびっくりしました。まだ意味やどんな時に使うかわからないものが多いので調べてみたいです」新聞記事をかみ砕いて考える姿,自分の言葉で説明する姿などがあった。

・故事成語(古典)が現在の生活にも使われていることを,新聞という具体をとおして感じさせられたことは成果である。単元の最後の感想に「故事成語が自分たちの身の回りでも使われていることがわかり,興味を持てた」という感想が多く並んだことはよかった。古典の学習であっても,扱い方次第で新聞が生きた教材となり得ることがわかった。・新聞は,読解力を育成することや文章の活用能力を高める点でも,教科として有効な教材の一つであるといえる。新聞活用を継続することで,新聞がより身近な存在になり,学習意欲のさらなる高まりが期待できるのではないかとも考えられる。・今後も,日常の授業での新聞活用を継続していくことで,学習の礎となる読解力の育成をはじめ,「判断力・表現力」を養うための新聞活用のあり方を追究していきたい。

実践者名:飯田市立竜峡中学校 成田 浩和