実践指定校実践例 2014年度

新聞記事を使った社会的課題に関するプレゼンテーション

長野県岡谷東高等学校(ながのけんおかやひがしこうとうがっこう)

教科、科目、領域

高校(高等専門学校を含む): 公民
学年 高校(高等専門学校を含む) 3年
課題の追求
社会的な問題に対する「主体的視線」と「多角的視野」の重要性に気づかせ、様々な立場の苦しみを理解し、様々な角度から自分なりの解決策を考える機会を設ける。
比較的長期にわたる期間(10か月ほど)の複数紙の新聞を用意し、生徒が様々な意見、社会的な問題の変遷を見つけられるようにしておく。
新聞活用学習

1時限目:班分け、テーマ決定、テーマに関するレポート作成
2時限目:レポート作成の完成とテーマに関する新聞記事収集
3時限目:プレゼンテーションの台本作成
4時限目:発表用模造紙作成
5時限目:プレゼンテーション(前半)
6時限目:プレゼンテーション(後半)

1~6時

(1)テーマ設定とレポート作成
班ごとに10の社会的な問題のテーマから一つのテーマを選択し、まずはそのテーマについての概要をレポートにまとめる。
(2)レポート完成と新聞記事収集
レポート作成と並行しながら、テーマに関する新聞記事を収集する。新聞記事を基本としながらも、パソコン等で地方新聞などからの記事収集もできる。
(3)発表の方向性決定と台本作成
レポート作成担当者は、班員に概要を説明し、それをもとに全班員がレポートを記入し提出する。新聞記事収集担当が集めた記事を元にして、テーマについてどのようなプレゼンテーションを行うか方向性を決める。その際に、「どのようなことが問題となっているのか」「なぜその問題が生じているのか」「問題の解決のために何ができるか」などテーマに沿ったいくつかの論点を核とし、それぞれについて担当者を決め、プレゼンテーションの台本作りを行う。
(4)模造紙作成とリハーサル
模造紙にプレゼンテーションする内容に必要な新聞記事や説明事項を貼り付けたり、書き加えたりしていく。印象的な写真はカラープリントして貼り付ける。完成したら発表に向けて、リハーサルを行う。
(5)プレゼンテーション
班ごとにプレゼンテーションを実施。質疑の時間も設け、聞き手は各班のプレゼンテーションのメモをとりながら聴き、素晴らしい班を2つ選ぶ。それをもとにベストスピーカー賞を決定する。

新聞記事やパソコンによる情報収集等では、情報源を確認し、情報の正確性を確認することを注意させた。新聞記事を切り抜く際には新聞名と日付を書き込むことを徹底させ、インターネットではURLを記すようにした。模造紙の作成においてもそれらを明示させた。
プレゼンテーションでは、台本を見すぎずに前を向いて大きい声でスピーチするように指導した。

テーマ設定においては「自由テーマ」という選択肢も入れ、「危険ドラッグ」というテーマ設定をした班もあった。台本作成においては、テーマに関して生徒同士での教え合いが見られ、作成に手間取る生徒に笑顔でアドバイスしたり、真剣な表情で新聞記事を熟読したりと前向きに取り組んでおり、作業に加わらない生徒はいなかった。また班の中で普段交流しない生徒とも次第に打ち解けていく様子が見られた。

生徒一人ひとりに班のなかでの役割が与えられたことにより、班での共通のテーマに対して主体的に取り組むこととなり、社会的な問題に関しての主体的視線をもたせることができた。また複数紙から新聞記事を収集する中で、立場が異なる意見というものに触れることができ、多角的に物事を見ていくことの重要性にも気づく事ができていた。今回のプレゼンテーションまでの一連の流れは、新聞作りに直結するものであり、特に新聞記事をもとに自分たちの伝えたいことを再構成するという作業は、テーマの内容をより理解することに繋がるとともに、情報の取捨選択というものを考える場面になっていた。一方で生徒は意外にもインターネットを利用して自分が必要とする情報を集めることができていなかった。この点に関しては指導の工夫が必要であり、課題である。

実践者名:長野県岡谷東高等学校 山野井亮秀