実践指定校実践例 2014年度

新聞から情報を読み取り、学習問題をつくろう

北九州市立小森江東小学校(きたきゅうしゅうしりつこもりえひがししょうがっこう)

教科、科目、領域

小学校: 社会
学年 小学 5年
「くらしを支える情報」 小単元(1) 情報の中に生きる
東日本大震災を報じる新聞記事から読み取れる情報について話し合う活動を通して、災害発生時や防災のための情報利用について調べていくための学習問題をつくることができる
単元導入時に社会見学やNIEの取り組みで児童に身近な存在となった新聞を用いることで、学習内容を理解させ、意欲的に調べていこうとする足掛かりとする
新聞活用学習 新聞機能学習

1 東日本大震災における情報ネットワークの活用について話し合い、学習問題を設定する。(1時間)
2 新聞のニュースはどのようにして私たちのもとへ届けられているのかについて調べる。(1時間)
3 防災や災害発生時に利用できる情報ネットワークについて調べる。(2時間)

1~2時間目/4時間

<1時間目>
(1)本時のめあてを確認する。
(2)黒板に掲示した東日本大震災を報じる新聞を5分間自由に閲覧して、掲示したものが何なのか、そこから何が分かるのかについてノートに考えを書く。
(3)ノートに書いたことについて発表し、新聞から読み取れる情報について話し合う。
(4)災害発生時や防災に関する情報を伝える媒体には、新聞以外にどんなものがあるのかについて話し合う。
(5)本時を振り返り、学習問題をつくる。

<2時間目>
(1)前時を振り返り、本時のめあてを確認する。
(2)社会見学を振り返り、新聞が私たちのもとに届くまでについて調べる。
(3)新聞記者のバッグの中身を見て、それらの道具は情報をどのように伝えるために役立つのかについて考え、話し合う。
(4)ソフトバンクホークスの優勝パレードに関するニュースについて2社の一面記事で読み比べ、違いについて話し合う。
(5)本時を振り返り、まとめをする。

○新聞記事から情報を読み取る際は、社会見学で学習したことを想起するように声をかける。
○新聞記事から情報を読み取ることが難しい児童は、見出しに注目させる。
○新聞が完成するまでを指導する際は、その手順をリズムに乗せて口ずさみ、楽しく覚えられるように工夫する。
○写真の構図に注目させる際は、4年生の国語科で学習したアップとルーズの違いを振り返らせる。

○記事から情報を正しく読み取ることができた。中には、紙面ごとの大見出しをノートに書き並べる児童がいた。
○記者の持ち物から、情報を速く正確に伝えたり、分かりやすく伝えたりするために努力していることが理解できた。
○記事を読み比べることで、同じ出来事でも見出しの意図や写真の構図が違うことに気付くことができた。なぜ違いがあるのか問うと、書き手・読み手・地域の違いなどの意見が出た。

 単元の導入において、社会見学で訪問した毎日新聞西部本社編集室での学習や、本校のNIEの取り組みを生かして、東日本大震災を報じる新聞を取り上げた。すると、児童は既習内容を想起して、新聞記事から意欲的に情報を読み取ることができた。さらに、複数の新聞を読み比べる活動を通して、情報は発信者の意図や意志によって伝え方が変わるという点に気付くことができた。児童はそれまで、受動的な受信者という立場で情報を収集・利用していたが、発信者側の視点に立つことで、情報を能動的に捉えようとする意識が芽生えたのである。
 今後は、新聞から情報を読み取ったり比較したりして考えたことを積極的に交流するなどして、情報の背景について考えを深めたり、広い視野に立って社会的事象を捉えようとする態度をさらに伸ばしていきたい。

実践者名:北九州市立小森江東小学校 高崎 匠