実践指定校実践例 2014年度

新聞記事から季節に関わる身近なものを表す言葉を探し、便り(俳句)を書く実践

名古屋市立大和小学校(なごやしりつたいわしょうがっこう)

教科、科目、領域

小学校: 国語
学年 小学 2年
きせつをつたえよう
新聞の日付と写真から季節の言葉を見付け、「みたいだ」「ようだ」などの表現方法を使って、そのときの様子がよみがえってくるように書き表すことができるようにする。
季節感や今の出来事を知ることができる新聞のよさを活用するために、季節の写真が掲載されている記事をいくつか用意し、切り取らずに紙面1ページを教材にする。
新聞活用学習

1時 俳句のきまりについて学ぶ
本実践では、五七五の17音定型、季節の言葉を入れて自然や四季を詠むことにした。季節の言葉が入っている五七五と、そうでない五七五を用意して「あるなしクイズ」を行い、季節の言葉に気付かせた。
2時 季節の言葉を増やす
3時 そのときの様子が生き生きとよみがえってくるような表現方法を学ぶ
4時 夏の季節を表す言葉を使って学校生活の様子を五七五で書き表す
5時 暑中見舞いを書く

2~3時

(1)季節の言葉を探し、どの季節に当てはまるかを考える。
4~5人の班になり、季節の写真が掲載されている新聞記事(紙面1ページを画用紙に貼ったもの)10枚から、植物や動物、書かれている言葉を手掛かりにして季節の言葉を探す。
どの季節に当てはまるかは、生活経験だけでなく、新聞の日付も手掛かりにする。
(2)表現方法を学ぶ
俳句は、作文のように文章で表せないため、一番伝えたいことを、より様子がよく分かるように簡潔にまとめなければならないことから、様子を生き生きと伝える表現方法を学ぶ。
出来事を伝える新聞記事の切り抜きから、五感を働かせたり、たとえの表現を使ったりしている表現方法を見付ける。
(3)表現方法を使って俳句を作る練習をする
ゲンジボタルが飛び交う新聞記事を見て、写真や文章を手掛かりにしながら、季節の言葉を取り入れ、さらに、様子がよく分かるような俳句を作る練習をする。
俳句を作るヒントが書かれたワークシート、五(なにが)・七(どんなふうに光っているのかな。色や様子)・五(光っている様子を見て、思ったこと。「まるで~のようだ」と何かにたとえる。)を使って、様子がよく分かるように書き表す練習をする。


児童の関心が高く、難しい文章だけど読んでみたいという意欲が高まるような記事を取り上げる。歳時記や図鑑ではなく、新聞記事を取り上げるよさが十分に感じられるように、新聞は部分で切り抜かず、季節の写真がある紙面を1ページ分取り上げて画用紙に貼った。さらに、学ばせたい部分に読み仮名を付けた。写真だけでなく、日付や写真の周りに書かれている文章、見出しなどから季節の言葉やその季節を見付けやすくするためである。

季節の言葉探しを写真探しから始めたことで、新聞記事に興味をもち、意欲的に取り組んでいた。海びらきの1枚の写真から、見出しや文章を手掛かりにして「海びらき、海水浴、水遊び、夏の海」など、複数の季節の言葉を探すことができた。季節を感じ、五七五で書き表す学習では、五感を働かせたり、たとえの表現を使ったりして書いていた。自分の身の回りで起きている季節の出来事を表現したいという意欲が高まった。

小学2年の児童に、新聞記事は難しいのではないかと思われる。しかし、毎日発行される新聞であり、今の出来事だからこそ本実践では、日々移り変わっていく季節を感じとらせることができた。また、新聞を切り抜かず全面を教材にすることで、児童は自分の必要な情報を選択したり、となりの記事に目を向けて新しく情報を得たりしようとしていた。
今日教材にしないと明日では情報が古くなってしまう記事を扱うのは大変である。しかし、実践を終えた児童が書いた文章を読むと、そのときの様子がよみがえってくる。今後も児童の伝えたいという気持ちを大切にし、伝わった喜びを味わうことができるように、ことばの力を育てていきたい。

実践者名:名古屋市立大和小学校 東本尚子