実践指定校実践例 2014年度

「いのちについて考える」

熊本県立甲佐高等学校(くまもとけんりつこうさこうとうがっこう)

教科、科目、領域

高校(高等専門学校を含む): その他(学校設定教科・科目)
学年 高校(高等専門学校を含む) 2年
「いのちについて考える」
人間以外の生命も含むあらゆる生命に対する考えを深め、人間としての在り方生き方を見つめ直す。
テーマにあった記事を生徒自身が見つけ、それを元に皆で考えを深める。
新聞活用学習

第一時:「いのち」について何かしら考えさせられる記事を見つけ、その内容や理由をまとめる。第二時:前回の記事についてグループ内で発表して考えを深め、それぞれの意見をまとめる。第三時:グループでまとめたことを全体で発表し、その中でもっと考えを深めたいものや疑問点を出し合う。第四時:考えを深めたいものや疑問点について意見を出し合う。補足資料として「ゴキブリ殺しの文化論」(養老孟司著、1995年文春文庫『涼しい脳味噌』収録)を使用した。

平成26年11月29日(土)

前時までの活動として、「いのち」について何かしら考えさせられる記事を生徒たちが探し出し、それらについて各グループで疑問点を出し合ったりもっと深まりそうなテーマを選んだりして、本時の課題として行っていた。その課題は二つである(①地元の熊本県高森町にある樹齢700年の大イチョウについての記事②ペットの殺処分やペットの引き取り手を探す記事)。①については、「イチョウにどんなことを聞きたいか」「これからもこのイチョウをつないでいくにはどうすればいいか。」ということ。②については「ペットの命も同じ命なのに軽んじているのではないか」「増やさないためとはいえ、去勢や避妊などをして生物の大きな存在意義を人間の都合で奪っていいのか」「鳥や金魚が死んでいたらかわいそうだと思うのに、虫だとなぜそう思わないのか」ということ。以上の点について発表し合い、考えを深めた。また、これらのまとめとして、「ゴキブリ殺しの文化論」(養老孟司著、1995年文春文庫『涼しい脳味噌』収録)を用いた。そこで、「ゴキブリを殺すということは、嫌だという感情が行動に直結する結果であって、それが差別につながる」ということについて話をした。最後に、「いのち」について深く考えることになった、授業者自身の体験を語りかけた。

今回のようなテーマは、とくに生徒自身が自分のこととして感じ、考えられるようにすることが大切である。そこで、地元の「熊本日日新聞」を使用し、さらに生徒自身が探し出してきた記事をもとに授業を展開した。

「いのちに関すること」をテーマとしたため、生徒の反応については心配をしていた。しかし、全ての活動について、積極的かつ真剣に取り組んでくれた。より身近な話題について、生徒自身が探し出した記事を元に授業を展開したことがよかったと思う。

NIEに取り組んでみて成果としてあげられることは、その可能性の大きさに気付いたことである。「生徒にどのような力を付けたいか」「そのために有効な教材は何か」を考えるとき、内容の幅広さ・即時性という点で、NIEは非常に有効な教材であると実感した。生徒の興味・関心に応じた教材を、そのときの生徒の実情に応じて選定できることが最大の理由である。しかし、そのぶん教材が生徒に与える影響等も十分考慮する必要があるということも忘れてはならない。様々な実践報告を知り、今後の教育活動に生かしていきたいと考える。

実践者名:熊本県立甲佐高等学校 藤原崇師