実践指定校実践例 2014年度

思考力・表現力を高める授業をめざして

一関市立千厩小学校(いちのせきしりつせんまやしょうがっこう)

教科、科目、領域

小学校: 社会
学年 小学 6年
近代国家への歩み
明治政府が、産業を盛んにして国を富ませ、西洋諸国に追いつける国づくりを目ざしたことを、富岡製糸場が建てられたことと関連づけて考えることができる。
富岡製糸場が世界遺産に登録された記事から、富岡製糸場の歴史的価値を読み取り、明治政府の国作りや当時の人々の思いにつなげていく。また、本県との関連ついて触れる。
新聞活用学習

1 新しい国作りの足跡を訪ねよう 1時間
2 新しい時代の幕開け 8時間(本時4/8)
3 二つの戦争とアジア 5時間
4 歴史新聞を作ろう 1時間

第2次 8時

<導入>
1新聞記事から富岡製糸場が世界遺産に登録されたわけについて読み取り、話し合う。
・6月に登録された。
・最初は官営工場として建てられた。
・日本を近代工業国に導いた。
・保全状態が良かった。
・登録に向けた取り組みが熱心だった。
<展開>
課題=明治政府が官営富岡製糸場を建てたのはなぜだろう。
2既習事項をもとに、明治政府が官営工場を設置した理由を予想する。
・西洋に追いつくため。
・国が貧しかったから。
3資料(新聞)から富岡製糸場について読み取る。
・外国から技術者を招いた。
・国の費用で作った。
・近代工業で国力をつけたかった。
まとめ=政府は不平等条約の改正を目ざすため、官営工場で国力をつけて西洋に追いつきたいと考えた。
4新聞記事から、岩手県との関連について知る。
・千厩にあった片倉製糸工場との関係について知る。
<終末>
5次時の予告

富岡製糸場が世界遺産に登録された時の新聞を拡大提示し、記事や写真について読み取るようにした。記事を読み取る際は、まず一人ひとりに記事のコピーを配布し、個別に読み取った後、グループ(5~6人)で話し合い、その後に全体で話し合うようにした。全体での話し合いは、模造紙大に拡大印刷した記事を黒板に貼り付け、児童が発表したキーワードにサイドラインを引いていった。今回は、中心資料について全体で話し合う形にした。

・実践を行ったのは9月だったが、富岡製糸場が6月に世界遺産に登録されたばかりだったため、そのニュースを記憶していた児童がおり、授業の導入がスムーズに流れた。
・中心資料として拡大した新聞を提示したことにより、児童が黒板に集中し、書き込みを見ながら思考することができた。
・自分達が住んでいる千厩に、富岡製糸場と非常に関連が深い片倉製糸工場があったことを知り、総合的な学習での調べ学習に発展した。

成果
富岡製糸場の話だけにとどめず、地域との関連を扱うことができたのは新聞ならではだった。結果的に児童は非常に高い関心をもち、総合的な学習の時間での調べ学習、学習発表会での発表へと発展していった。
課題
今回の実践を行うにあたって最も苦労したのは、授業に使える記事を探すことだった。特に歴史的分野は、活用場面が限られている。新聞ありきというわけではないのだが、新聞を活用した授業に取り組みたい場合、普段から意識して記事を探し、ストックしておく必要がある。

実践者名:一関市立千厩小学校 菅原 秀文