実践指定校実践例 2014年度

新聞を活用し、読み取る力を育てる指導の実践

川南町立東小学校(かわみなみちょうりつひがししょうがっこう)

教科、科目、領域

小学校: 社会
学年 小学 5年
自動車をつくる工業
自動車をつくる工業をとおして、わが国の工業生産について意欲的に調べ、自動車産業に従事している人々の工夫や努力について理解することができる。
一人調べで、教科書だけでなく、新聞記事の資料も活用させながら、環境にやさしい取り組みについてまとめさせることで、資料を効果的に活用する能力を高める。
新聞活用学習

新聞記事を活用して最新の自動車づくりの情報を知らせることで、児童の知的な興味・関心を高め、学習意欲の高揚を図る。一人調べの際には、教科書や資料集だけでなく、新聞記事やインターネットからの資料も活用させながら、環境にやさしい取り組みについてまとめさせる。また、グループでの話し合いの場では、根拠をもとにした発言をしていくように指導していくことで、児童の言語・表現活動の充実を図る。終末段階での学習のまとめでは、児童一人一人がキーワードを用いて書き、まとめていくように時間を設定していく。

第8時(全9時間)

1 自動車が増えて、環境にどのような影響を及ぼしているのか話し合う。
・大気汚染や地球温暖化、酸性雨等の悪影響を環境に及ぼしていることをおさえ、環境にやさしい自動車づくりをしている新聞記事を紹介することで、めあてにつなげる。
2 今日のめあてを知る。「自動車があたえる悪影響を減らすために、どんなくふうや努力をしているのでしょうか。」
3 学習範囲を音読する。
4 環境にやさしい自動車づくりについて、教科書や資料集、新聞資料等を用いて、一人調べをする。
・環境にやさしい自動車(エコカー)についてまとめさせるとともに、消費者の視点からの取り組みについてもまとめさせる。
5 環境にやさしい自動車づくりについて話し合う。
・「資料の○○のところから、~~というのがあることが分かりました」といった根拠をもとにした話し合いができるように指導する。
6 学習のまとめをする。
・各自でキーワードを用いて、本時学習のまとめを書きまとめさせる。
 

新聞記事から必要な情報を効果的に活用することが困難な児童も予想されるので、一人調べの後に、グループで話し合う時間を設ける。

導入で、環境にやさしい自動車づくりをしている新聞記事を見せると、いつも以上に関心を示した。一人調べの段階では、教科書だけでなく、資料集や新聞記事、インターネットからの資料とたくさん準備された情報に興味を示し、熱心に読む児童の姿が見られた。一方で、情報量に圧倒されて学習意欲が衰退する児童や未習熟の漢字や難しい言葉に戸惑う児童も見られた。

成果として、授業実践の1か月ほど前に燃料電池車が販売開始になり、その話題も兼ねた新聞記事特集を資料として活用できた。そのため、児童にとってタイムリーな話題を教材として学ぶことができたのは、社会科の目標である「社会生活についての理解を図る」ために大変効果的であった。教科書と新聞記事等の資料とを比較し、必要とする情報を選択したり、情報を要約したりする活動を設けたことは、資料を効果的に活用する力を高めるための手立てとして有効であった。課題として、新聞記事から読み取ったことを一人調べでノートにまとめることが困難な児童も見られた。新聞記事の中には、学習のめあてと無関係の情報も多くある。個人差に対応するために、理解度に合わせて新聞記事の情報量を増減したり、ヒントカードを与えたりするなどの配慮も必要である。

実践者名:川南町立東小学校 六車 哲雄