実践指定校実践例 2014年度

私たちの入学式

栄村立栄小学校(さかえそんりつさかえしょうがっこう)

教科、科目、領域

小学校: 道徳
学年 小学 4年
道徳 1ー(2)自分でやろうと決めたことは、粘り強くやり遂げる
長野県北部地震の混乱の中での入学式にむけた人々の思いに触れ、当時の自分の目標を振り返る活動を通して、今後も粘り強くやり遂げようとする気持ちをもつことができる
自分たちの姿、学校の様子が実際に掲載されている新聞記事を用いたことで、意欲的・具体的に児童が学ぶことができる。
新聞活用学習

1時間の授業。
(1)入学式の記事を読み、その時の気持ちや様子を話しあう。(2)入学式ができるようになった時の様子を、当時の教頭先生にお聞きしたDVDを視聴し、震災後の混乱の中、どうして早く入学式を開こうと努力したのかを確かめる。
(3)PTA新聞に掲載された1年生当時の目標を確かめ、今の自分が目標に向けてがんばっているかを振り返る。(4)授業を振り返り、感想を書く。

(1)信濃毎日新聞「栄小学校笑顔で入学式」の記事を見だし、リード分などを読みながら、当時の様子を振り返る。ランチルームで入学式を行ったこと、予定より1週間ほどおそい入学式になったことを確かめる。(2)入学式がなぜ遅れたのか、当時の様子を前教頭先生にお聞きしたDVDを視聴した。児童は、当時の学校が避難所だったことやトイレや体育館が使えなかったことなど大変な状況であったことを知る。そのような状況の中、入学式を待つ当時の自分たちを喜ばせたい、大変な苦労をしている村の人々に明るいニュースを送りたいという思いから、早く入学式を開こうと周囲の人々が考えていたことを知る。村の人々にとって、目標を持って栄小学校に入学し、がんばる新1年生の姿は、希望の星であったことなどを知る。(3)最初に使った新聞記事のなかの「勉強を頑張りたい」というA君の記事から、当時の目標を振り返るために、栄小学校PTA新聞第1号に掲載された、1人1人の目標を提示する。そして、当時のように、今の自分たちは目標に向かって頑張っているかを、2学期の目標や生活の様子を元に振り返り、記入し、発表する。
(4)授業を振り返り、目標に向かいやり遂げようとしてきた良さをそれぞれが気づき、今後もそのような気持ちを持てるようにする。

・新聞記事をPDFファイルにし、電子黒板に映すことで、必要な記事を拡大したり、線を引いたりできるようにする。・難しい漢字が多いので、ふりがなをふっておく。・時系列がわかるように資料を用意し、児童が振り返りやすいようにする。・DVDの内容は文章でも用意し、入学式を早く行おうとした理由をつかめなかった児童には配布する。・転入生の児童の1年生当時の目標が分かるよう、入学時の小学校に確認する。

入学当時の様子を、子ども達は意外と覚えていた。また信濃毎日新聞やPTA新聞の記事を、楽しそうに読んだり見つめたりしていた。前教頭先生のDVDの内容把握が不十分だったため、文章で配布して再確認した。自分たちが今、目標を持って頑張っているかどうかは、「忘れ物をしないようにしている」「音楽会の2部合唱をあきらめずがんばった」など具体的に考え、集中して1人1人がたくさん書くことができた。

高学年で気持ちをそろえて取り組むことが出来た。特に子ども新聞がわかりやすく、4年生には最適だった。栄村ならではの題材を中心に据え、身近な記事を使ったことが、児童にはよかった。4月当初は「難しい」「読めない」という否定的な意見が見られた子ども達だったが、年度末には「楽しい」「もっと読みたい」などの感想が増えた。
課題としては、具体的な成果が見えにくいので、ねらいを焦点化して取り組みたい。また、新聞をどのように授業に取り入れていくかをさらに検討したい。栄村ならではの記事を用いて、取材、発信などできたらよいと考えている。

実践者名:栄村立栄小学校 德永幹子