実践指定校実践例 2014年度

新聞を読み比べて多面的・多角的な情報分析力を養う

清心中学校(せいしんちゅうがっこう)

教科、科目、領域

中学校: 地理 、歴史 、公民
学年 中学 1年 、2年 、3年
社会科 
1つの社会的事象を6つの新聞社がそれぞれどの立場で伝えているかを分析することで、多面的・多角的に物事を見る力を養う
2か月間、6つの新聞社(全国紙5紙、地方紙1紙)を毎日いただき、いつでも見られるよう中央廊下に棚を設置し、比較しやすいよう1面を上にして置いた
新聞制作学習 新聞活用学習

中1地理 わがまち新聞づくり(夏休み課題) 中2歴史 四大文明新聞(連休課題)歴史新聞づくり(発表も含め6~7時間) 中3公民 1分間スピーチ(2学期、毎時間3人ずつ)新聞の読み比べ活動(8時間)

【中2】6~7時【中3】8時

【中2歴史新聞づくり】各クラス4~5人を1グループにして、担当する時代を決め、その時代におこった出来事を伝える新聞を作成する。事前に実際の新聞を見てレイアウトを研究し、見出しやリード文、写真・絵や社説(自分たちの感想)も入れるようアドバイスした。できた新聞は模造紙にまとめた。最後の時間に教室に全作品を飾り、各グループがポスターセッションを行った。自分たちの作品を一生懸命説明しようと努力していた。
【中3新聞読み比べ活動】各クラス6~7人を1グループにして、2か月分の新聞のなかから興味のある記事(政治・経済分野に限る)を選ばせる。その出来事を他の新聞社はどのように伝えているかを、各新聞社1人の担当者を決め記事の要約と特徴をまとめる。それぞれのまとめができたら、それらを持ち寄り主張の違いを出し合う。この違いを模造紙にまとめるとともに、7~8分で全員の前で発表する。発表を聞く人は、学習用紙に学んだことを記入していくとともに、発表に対する評価も行う。

【中2新聞づくり】ただ調べたことを丸写しにならないよう、自分の言葉で書くことを心がけさせた。また、簡潔に文をまとめたり、見出しをつけるなど、見る人の立場になって作成することを心がけさせた。
【中3読み比べ】2か月の新聞すべてから記事を選ぶと、時間もかかったり同じ記事の取り合いにもなる心配があるため、2か月を5つの期間に分けた。何度も原稿を提出させ、教員が校正を行った。

生徒の感想を紹介します。「どの新聞も同じような内容が書かれているからあまり差はないと今まで思っていました。でも、実際には事件の内容などはどの新聞社も似たことを書いていたけど、それについてどう思うかについては、はっきりと分かれているんだと気づきました。また、今回読み比べをして、普段からもっと意識して読んだりして、何を伝えたいのかを正確に読み取ることが必要だと考えました」

昨今、SNSを通して多くの情報があふれている。その情報を正しく理解するとともに、正しい情報、信頼できる情報を選び取る力がより求められていると感じる。そのなかで、新聞はインターネットの情報に比べると信頼できる情報であるとともに、新聞は読む力や主張を読み取る力をつけるためにも有効なツールであると思われる。6社の新聞を毎日いただいて、その内容の比較が容易に行えることは大変ありがたい。一方で、1分間スピーチや読み比べについて生徒が持ってきた記事を見ると、新聞社の意図をきちんと読み取れていないものも見受けられる。正しい読解力の育成が今後の課題といえる。国語科との連携も考えていく必要があると思われる。

実践者名:清心中学校 西川 基之