実践指定校実践例 2014年度
大学における社会福祉関係授業の新聞活用(2)
中国学園大学・中国短期大学(ちゅうごくがくえんだいがく・ちゅうごくたんきだいがく) |
教科、科目、領域 |
高校(高等専門学校を含む): その他(社会福祉概論、社会の理解) |
---|---|
学年 | 高校(高等専門学校を含む) 4年 、5年 |
社会福祉 |
新聞を授業の中で取り入れ、授業の学習到達を高めるだけでなく、就職に役立つ知識習得、また健全な社会人になることをめざし、全人教育に資することを目指した。 |
新聞記事をスクラップし、ワークシートを用いての調べ学習と意見交換をする。記事を探し、感想・意見のレポートを提出する。 |
学生に新聞を配布し、新聞全体を読ませている。社会福祉・社会保障に関連する記事を自分たちで選ばせ、スクラップさせた。(「社会の理解」全15回の場合)
「社会の理解」「家庭支援論」など及び研究発表 |
スクラップした記事をA4用紙に貼り、さらに今一度記事を熟読させる。学生たちは、その記事の中から社会福祉や社会保障に関係すると考えられるキーワード(例えば、専門職、施設・機関、サ-ビスなど)をワ-クシ-トに抜き書きし、同シ-トに関係する法律・制度を記入する。そのうえで、法律・制度がどのような理念・目的を有し、どのような内容で、どのような問題があるのかを、教科書や福祉小六法等で調べ、それをワークシ-トに記入する。あわせて、学生がその記事を読んでどう考えたか、意見や感想も記入させた。なお、他の科目においては、平成26年7月28日・12月4日の両日、山陽新聞社NIE推進部に「新聞記事全体の概要」を講義していただいたほか、山陽新聞社NIE推進部による「新聞の見出し」の講義を行い、学生の「卒業新聞」をさんた号で実際に発行した。また、これら実践をもとに研究を行い、平成26年6月、中国学園紀要第13号において「教育課程における新聞活用―保育学科の福祉教育での学生の意識調査の一考察―」を、平成26年11月には、福祉図書文献研究第13号において「福祉教育における保育学科学生の新聞記事検索の思考についての一考察」を公刊した。さらに日本NIE学会第11回大会にて「大学の社会福祉教育に関する一考察2-学科・学校種間の比較を中心に-」を発表した。 |
授業における作業にはグループ学習も取り入れている。4人ないし5人のグル-プになり、法律・制度の理念・目的が合っているか否かグル-プで点検し、意見交換をおこなわせた。グループ内ではそれぞれ自分が選んだ記事を要約したものや感想を発表し、意見交換も行わせている。また、宿題として社会福祉関係の記事15枚分をスクラップさせ、感想レポートを提出させた。 |
新聞記事を使った授業を実践し、レポート等を課すことによって学生が主体的に新聞に関わるようになるきっかけ作りをしているが、まだ学生は受け身の学習にとどまっている。学生が自ら意欲的に取り組むようになる方法論と素材を探さなければならない。科目の性質上、制度・政策に関する記事を扱うことも少なくないが、今まで関心の薄かった学生に関心をもたせそれを維持するにはさらなる工夫を要する。
各学科に共通して、新聞を読まない・ほとんど読まない学生が少なくない。新聞がまだ学生の身近なものになっていない。新聞を「読む」・「時々読む」と答えた学生も政治・経済欄の記事をほとんど読んでいない。保育学科や総合生活学科の学生の場合、社会福祉や・保育に関心を有しているものの制度・政策に関する記事を読んでいない。今後、どのようにすれば学生が政治・経済の記事を読むのか、さらに検討しなければならない。新聞記事を使った授業を実践し、宿題レポート等を課しているが、現在のところ学生は受け身の学習にとどまっている。高等教育の中でよりよい新聞活用の実践を展開しなければならない。
実践者名:中国学園大学・中国短期大学 松井圭三