実践指定校実践例 2014年度

生徒の論理・思考力を高めるNIE~生徒間評価、記事の図式化・視覚化への挑戦

広島国際学院高等学校(ひろしまこくさいがくいんこうとうがっこう)

教科、科目、領域

高校(高等専門学校を含む): 総合学習 、キャリア教育・進路指導
学年 高校(高等専門学校を含む) 1年
「産業社会と人間」における進路学習
新聞を題材に、生徒の論理力、思考力を高める。手法として生徒間フィードバック、新聞記事の図式化、視覚化を試みる。
生徒間でのフィードバックや評価を徹底するため、①新聞記事の選定、②記事の要約・意見文の評価、③発表文の作成、発表で生徒による評価とフィードバックを導入した。
新聞制作学習 新聞活用学習 新聞機能学習

〇新聞記事の「要約・感想」記入活動(朝の読書活動、1~3学期)
→生徒間での新聞記事の選定、要約、感想文の評価、フィードバック活動

〇「朝の新聞記事読書発表会」の開催(「産業社会と人間」、6時間)
→新聞記事を図式化・視覚化(パワーポイント化)した発表題材の作成。

0時間

〇新聞記事の「要約・感想」記入活動
→毎朝熟読する新聞記事を生徒自身が選定。選定した記事の「選定理由」を選定者が発表した後、各生徒が熟読し要約、感想を記入する。完成した要約や感想文は、生徒間で交換し、評価を行う。他者からの評価を受けた上で、自らの文章の良い点、悪い点を把握し、次回の新聞記事の要約感想活動に役立てていく。

〇「朝の新聞記事読書発表会」の開催(「産業社会と人間」、6時間)
→毎朝熟読してきた記事の中より、各人が気に入った記事を選定し、発表題材を作成する。発表題材は、これまでの発表原稿のみだった作成から、新聞記事を図式化、視覚化(パワーポイント化)して聴き手に理解してもらう手法を取り入れる。新聞記事の内容をさらに追及させるため、インターネットや図書室で文献などを活用させ、知識の充実、さらには聴き手への理解の深化につなげられる工夫を生徒に行わせた。
発表会は第一段階で「クラス発表」を実施。ここで生徒間の評価を導入し、発表題材の良い点、改善点を分析させる。その後、改善点を解消させ第二段階の、「全体発表会」につなげていく。生徒同士の評価とフィードバックを入れることで、自らの論理力・思考力の向上を図っていく。

〇教師の視点に基づいた評価に代わり、「生徒目線」の評価を取り入れた。同じ学習活動、経験。実力の下、生徒同士で評価をしあうことは、各人が鏡のように、見直すことができる。

〇図式化・視覚化は、新聞記事内における「口頭や文章での伝達では困難な内容」について、他者にどう伝達すればよいかを考えさせた。加えて、発表者自らも、新聞記事の内容を十分に理解できているかを判別させるようにさせた。

新聞記事の選定作業から、生徒の情報収集力が問われてくること、そして選定作業が、他者の目に触れるということもあり、真剣に記事を選定する意欲が感じられた。要約文、感想文についても、他者に触れ評価されるため、わかりやすい文章を書こうとする意識が見られた。
図式化・視覚化については、記事以外の情報を収集することで、新聞記事内容をよりわかりやすくしようとする意志が生徒間でみられた。

〇成果について
情報の収集に対し、「自らが情報を入手・選定する責任感が芽生えた」ことがあげられる。また、有益な情報を収集できた際には、クラスという社会集団の中での自らの役割意識や使命感がおのずから育つことにも繋がった。
「新聞記事の図式化・視覚化」については、知り得た新聞情報を他者に伝えるため、情報の多角的見方が多くの生徒に見られた。

〇課題について
図式化、視覚化するための手法が不完全であった。生徒が主体となり生徒同士のフィードバックから発表を試みたが限界が出てきた。例えば、新聞を図式化するための一定の要約力が未完成であった。さらに参考資料をそのまま活用したため、誰の意見なのか判別しにくいものとなってしまった。作成方法の事前学習を徹底する必要が今後必要になると思われる。

実践者名:広島国際学院高等学校 為重慎一