実践指定校実践例 2014年度

歴史学習に新聞を取り入れた授業の実践

千葉市立小中台小学校(ちばしりつこなかだいしょうがっこう)

教科、科目、領域

小学校: 社会
学年 小学 6年
明治の国づくりを進めた人々
新聞への関心を高めながら、自分の意見の根拠に新聞記事を取り入れて発表できる。
1グループで、複数の新聞を数日用意する。
新聞活用学習

1時限目:明治政府が富国強兵を目指し、地租改正、殖産興業、徴兵令の政策を進めたことを理解する。
2時限目:地租改正、殖産興業、徴兵令の政策について、自分が重要だと感じた政策を選び、その理由の根拠をまとめるために、新聞を活用する。
3時限目:それぞれの政策の立場で、根拠を明確にしながらディスカッションを行う。

1~3時

1時限目:明治政府が地租改正、殖産興業、徴兵令の政策を進めたことを理解する。(一斉授業)
・地租改正→日本の国の収入を安定させるため、国民に税金を払わせた。
・殖産興業→工場をつくって、大量生産した製品を外国に売り、収入を増やした。
・徴兵令→日本の軍隊を強くするため、徴兵令を行い、軍備を拡張した。
2時限目:3つの政策について、自分が重要だと感じた政策を選び、その根拠を主張する手段の一つとして、新聞記事を探す。(調べ学習)
現代のニュースでも富国強兵の政策とつなげられそうな記事を選び、自分たちの生活から考えることで、説得力のある意見とする。
・地租改正→税金の重要性に関する記事を使う。または、消費税が上がった現代でも多くの人が嫌がっている記事を見つけ、反論の材料とする。
・殖産興業→工業生産額に関わる記事を使い、現在の生産額は、殖産興業として明治に工場をつくって大量生産をしたことがもとになっていると主張する。
・徴兵令→アメリカ軍に関する記事から軍を持っているとどれだけ国が強いか主張する。また、韓国で徴兵令を嫌がっている記事や、集団的自衛権に関する記事からもし自分だったら嫌であることを反論材料とする。
3時限目:それぞれの政策の立場で、根拠を明確にしながらディスカッションを行う。
新聞記事を見せながら互いにディスカッションし、明治時代の様々な立場の人の思いを感じる。

個人では上手に探せなかったり、考えが偏ったりすることが考えられるため、数人のグループで活動することで、様々な新聞記事を互いに探し、話し合えるようにする。
該当する記事がすぐに見つかるわけではないので、数日間、複数の新聞を用意し、多くの新聞記事を読めるように、教師が準備をする。記事を見つけられないことも想定されるので、あらかじめ、教師が記事を探し、見つけられない児童には伝えられるようにする。

家庭で新聞をとっている児童でも、とっていない児童でも、じっくり新聞記事を読むことで、新聞への関心が今までより深まった。また、日本の歴史と現代をつなげて考えられることもできた。ただ、新聞を読むこと自体に慣れていない児童が多く、読むだけで時間がかかってしまったり、飽きてしまったこともあった。

児童にとっては、複数の新聞を読むことはなかなかできない経験であり、新聞社によって、表現に違いがあることに気付くことができた児童もいた。毎日継続して新聞を読むことで、現代のニュースにも関心を高めることができた。
まだ新聞に慣れ親しむことができなかった児童もいたので、活用方法は様々だとしても継続して新聞教育に取り組む必要がある。学級数や児童数が多い学校では、全ての児童に対して、新聞を読ませることが難しい。取り組み方を再考しなければならない。

実践者名:千葉市立小中台小学校 伊藤文人