実践指定校実践例 2014年度

人気があるかを比べるにはどうすればよいだろうか

新潟市立葛塚小学校(にいがたしりつくずつかしょうがっこう)

教科、科目、領域

小学校: 国語 、社会 、算数 、理科 、生活 、音楽 、図画工作 、家庭 、道徳 、外国語 、総合学習 、特別活動
学年 小学 1年 、2年 、3年 、4年 、5年 、6年
割合とグラフ
サッカーの人気具合について,サッカーをしている人数は全体の中のどの程度なのかを話し合うことを通して,割合の考えを使って比べることができる。
①単に関心を高めるだけでなく、学習課題をつかむことができる記事を選定し教材化する。②割合の中心概念をつかむ学習場面で新聞を活用する。
新聞活用学習

1時間目:くじ引きの当たり具合の比べ方を考え,当たり具合を分数や小数で表す方法を理解する。
2時間目:いろいろな場面での割合の比べ方,求め方を理解する。
3時間目:全体と部分の関係にない場合にも,割合を使って表すことや,割合が1をこえることがあることを理解する。
4時間目:百分率の意味と表し方を理解する。

8時間目:もとにする量の求め方を考え,求め方を理解する。
9時間目:割合で比べることのよさに気付く。
10~11時間目:帯グラフや円グラフの読み方やかき方を理解する。

1時

児童は,都道府県のサッカーの人気具合を比べる時に,サッカーをしている人の数の割合に着目せず,サッカーをしている人の数だけに着目して判断しがちになる。そこで,児童に,県全体の人口とサッカーをしている人の数の両方に着目して全体の中の部分で判断することができるようにするため,次の①と②の手立てを行う。
①「サッカーをしていない人の数」を提示する。
②県全体の人口を提示する。
①の手立てにより,サッカーをしている人の数だけでは比べることができないのではないかと気付くようになる。②の手立てにより,サッカーをしている人の数は全体の中のどの程度なのかと考えるようになり,割合の考えで比べ,判断できるようになる。
また,サッカーの好きな児童が多い学級にとって,毎日小学生新聞を使った教材は興味関心をもって学習に参加することができる。そして,教科書教材では得られない割合で比べるよさに気付くと考える。

児童は,県全体の人口に着目せず,サッカーをしている人の数だけに着目して判断してしまうと考える。そこで,本時では,「新しいJリーグチームを人気のある県に作りたい」という提案をし,東京都と埼玉県を含む3つの県の人気具合を比べさせる。そうすることで,児童は,県全体の人口とサッカーをしている人の数の両方に着目して,県全体の数の中のサッカーをしている人の数で判断する割合の考えで比べていくようにする。

「もともとサッカーが好きなので、新聞記事を使って数を調べるのは面白いし分かりやすかった。人口のグラフを見たことがなかったから、東京の人口の多さに驚いた。興味を持った記事が授業で使えるといいと思う」(男子)「いつもと違い、新聞記事を使って割合を比べるのは楽しかった。東京は人口が多いのでサッカー人口の割合も多いと思ったが、埼玉の方が多いのは意外だった。今後は自分の好きな記事を探したい」(女子)

子どもの問題意識があってこそ問題解決的な学びが起きる。しかし指導する教師にもねらいがある。子どもの問題意識と教師のねらいを一致させた学習が授業では大切であり、その1つが「新聞を教材として活用する」ことだと私たちは考える。教師が子どもに新聞を読み聞かせ、記事に着目させる。すると子どもは,教師の提示した新聞をなんとか理解し、話し合うことを通して,今まで見えなかったことに気付いたり考えを深めたりしていく。新聞は,子どもたちが考えなければならない社会と自分とのかかわりの中で起きている問題をたくさん提示してくれている。今後も,NIE実践で得た経験を生かし,身近なところから「問題の本質は何か」を問い,かかわり合う中で考え,総合して判断する力を,現代を生きぬく欠かせない知恵として培う実践を創造していきたい。

実践者名:新潟市立葛塚小学校 高橋 淳