実践指定校実践例 2014年度

NIEを通して新聞に慣れ親しむ

札幌市立稲穂小学校(さっぽろしりついなほしょうがっこう)

教科、科目、領域

小学校: 国語 、社会 、総合学習
学年 小学 5年
国語科「新聞を読もう」「百年後のふるさとを守る」「天気を予想する」その他教科
日頃のニュースに関心を持ち、新聞を通して情報収集を行ったり、調べたことを新聞にまとめる活動に取り組んだりしながら、新聞に慣れ親しむ
日々新聞にふれあえる取り組みとともに、他教科にまたがって、複数単元での記事の切り抜き、スピーチ、新聞製作などの様々な活用方法で活動を行ったこと
新聞制作学習 新聞活用学習

(1)国語「新聞を読もう」(2時間)を発展させた「朝のスピーチ」
・記事を切り抜きシートにまとめる
・発展的にスクラップブックの制作
(2)国語「百年後のふるさとを守る」(10時間)を読み「人物生き方新聞」を作る
・本文と並行し発展的に伝記を読み進める
・自分の生き方と絡めて、選んだ人物を新聞にまとめる
(3)国語「天気を予想する」(10時間)と総合学習を絡め調べたことを新聞にまとめる
・グループで課題を調べプレゼンテーションを行う
・テーマを決めて調べたことをまとめる新聞づくり

国語科(2時間)(10時間)(10時間)

「新聞に慣れ親しむ」を目標に、児童の実態を考慮し、日常的に新聞に触れあえる手立てと、ねらいを明確にした学習活動を行った。
始めに、国語科の「新聞を読もう」の単元を発展させ、各児童に新聞を配付し、気になったニュースをワークシートにまとめ、朝の会で数人ずつスピーチを行った。ワークシートは、全員が掲示板に掲示し、交流が行えるようにした。慣れてくると、記事をテーマ別に分けて、スクラップブックの制作も並行して行った。また、学年のスペースに「NIEコーナー」を設け、その日の新聞を壁に掲示し、曜日ごとに新聞を置く場所を設置した。
他にも、「小学生新聞と一般紙を比べよう」という学習を設定し、それぞれの特徴を見つけ、和語、漢語の表現の良さに気付く学習なども進め、新聞製作につながるようにした。
次に、新聞の構成や要素について学んできたことを生かし、新聞製作の学習を行った。国語科の「百年後のふるさとを守る」を読み、人物の生き方に焦点を当て、各児童が興味をもった伝記を読み進めた。最後は、自分の選んだ伝記の人物を、新聞にまとめる活動を行った。
総合的な学習でも、新聞製作を行った。「これまでとこれからのエネルギー」について、グループごとに調べ学習を行っていたので、調べたことを他グループの仲間にも伝えるために、プレゼンテーションと併せて、調べたことをまとめた新聞を個人で制作した。

「慣れ親しむ」ことが目標なので、日頃のニュースに対する関心を高めることで、意欲的に取り組める学習活動を目指した。そのために、日常的に新聞に触れられる「NIEコーナー」の設置のほか、「道新ワークシート」を活用したり、関心の高いニュースについて話をしたりするなど、ニュースに興味をもてる取り組みを行った。また2回の新聞製作では、制作の目的と、「何を学ばせるか」を明確にして、それぞれの取り組みを行った。

「NIEコーナー」が設置されると、朝の読書で新聞を読む児童が現れ始めた。記事を友達に紹介しながら、スクラップやスピーチの準備を行う姿も見られた。継続してスピーチを続けると、新聞の読み方にも変化が見られ、スムーズに記事を選ぶ児童も多くなった。新聞製作は、内容に個人差はあるが、図表の制作や、パソコンに打ち込みながらのレイアウト変更など、こだわって制作を行う児童が多く見られた。

日常的に新聞に慣れ親しむ取り組みを行ったことで、子どもたちと新聞をつなぐきっかけが生まれた。教科等の学習でも活用していくことで、明らかに新聞を読む子どもが増えた。朝のスピーチの準備を熱心にする姿や、家庭学習で新聞記事を切り抜いて感想をまとめる子など、新聞の面白さを感じるとともに、日常のニュースへの関心も高まった。
一方、2度の「新聞製作」の活動では、「子どもたちが何を学ぶか」は明確にしていたものの、本来の新聞製作の流れとは違うものになってしまった。「取材」「記事のチェック」などの制作手順を学ぶことや、「誰に伝えるのか」という相手意識を明確にした活動にしていく必要がある。
一年を通して関心を高くするには、年度の途中にも新たな日常的な活動が必要だとも感じた。

実践者名:札幌市立稲穂小学校 鈴木智史