実践指定校実践例 2014年度

社会に目を向け読解力・思考力・表現力を育む新聞活用

北海道静内高等学校(ほっかいどうしずないこうとうがっこう)

教科、科目、領域

高校(高等専門学校を含む): 公民
学年 高校(高等専門学校を含む) 3年
学校設定科目「時事問題研究」における新聞活用
新聞に親しみ、新聞記事を活用するなかで、社会への関心を高め、読解力・思考力・表現力を身につける。
新聞各紙や同じ日の新聞を全員で活用して新聞の機能や内容について理解し、生徒は新聞記事から要約と感想をまとめたレポートを作成する。
新聞活用学習 新聞機能学習

「新聞の読み方講座」と題し、年4回その日の新聞を受講生徒全員分取り寄せ、その新聞を用いて授業を行った。新聞記事の内容について解説し、生徒は注目した記事について要約と感想をレポートにまとめた。また新聞の機能を学習するワークシートも作成し、新聞にはどのような紙面があり、自分の知りたい情報を得るにはどの紙面を見ればいいのかわかるよう工夫した。

平成26年12月15日(月)3校時

「新聞の読み方講座(3回目)」として授業を行った。年度始めに生徒から集めていた新聞代で、この日の同じ新聞を全員が手に取って授業を行った。新聞購入の際には「学校教材用特別販売価格制度」を利用した。またNIE実践指定校として購読していた7紙も持ち込み、取り扱う新聞が一紙に偏らないよう工夫した。まずはじめにその日の新聞各紙の1面を黒板に掲示し、前日に行われた衆議院議員総選挙の結果報道を比較させ、気づいた点を生徒に発表させ、疑問点については解説を加えた。次にこの日の同じ新聞を全員に配付し、同じ記事を見ながら選挙結果について読み解いた。受講生徒は公民科「現代社会」の授業で選挙制度について学んだので、その時に学んだ内容を補完する形でも授業を進めた。授業の最後にはレポート作成の時間をとり、生徒は自由に新聞を見ながら今日の新聞の中で最も注目する記事について、その要約と感想をまとめた。この学習活動は、新聞機能学習と新聞活用学習を合わせて行うものだが、継続して行うことにより、自ら新聞やニュースに目を向ける生徒が増え、自ら進んで社会に関心を持つきっかけを作ることができた。

取り扱う新聞は一紙に偏らないよう留意した。年度初めのアンケートでは、ほとんどの生徒が新聞を読んでいない実態が明らかになったので、本時も新聞の構成など基本的なことから説明し、自ら学ぶための土台作りを意識して授業を行った。選挙期間はあえて新聞報道を取り扱わず、選挙結果の報道を取り扱うことにより、国民の選択に注目させた。また解説の際には、中立性・公平性を保つよう留意した。

受講生徒の声「時事問題研究を受講して、まず新聞を読むことが多くなった。レポート作成の記事を探すためもあったけど、新聞全体に目を通すことで、あまり読まない分野も何が起きているか知れた。テレビのニュースでも、ただ見るだけでなく、色々考えるようになった。新聞やニュースに対しても見方や考え方が変わったので、この授業を受けて良かったと思った。」(女子)

新聞を活用することによって社会への関心が高まり、またレポートを課すことにより読解力・思考力・表現力が身についてきた。また年間を通して継続的に行われたこの実践を通して、自ら関心を持って新聞やニュースを見るようになった生徒が増えた。さらに同じ時事問題でも複数の新聞記事で捉えることにより、多角的・多面的なものの見方や考え方ができるようになってきた。本年度は作成したレポートを発表するところまではできなかったので、今後は受講者全員で感想や意見を共有できる時間を設けていきたい。この他、グループディスカッションやグループワークなど、アクティブラーニング(能動的学修)を取り入れ、新聞を活用しながら社会への関心をさらに高めていく実践を行っていきたい。

実践者名:北海道静内高等学校 前川 保夫