実践指定校実践例 2013年度

一年間のニュースを振り返る

宮崎県立都城さくら聴覚支援学校(みやざきけんりつみやこのじょうさくらちょうかくしえんがっこう)

教科、科目、領域

高校(高等専門学校を含む): 国語
学年 高校(高等専門学校を含む) 1年
一年間の主なニュースを振り返り、簡潔にまとめ、自分の意見を適切に表現する
ニュースを分野別に分類し、簡潔に要約し、要旨をつかみ、原因、理由を考え、今後に活かすための自分の意見を表現し、他の人の意見も聞き、視野を広げさせる。
授業で毎時間紹介した新聞記事や持ち寄った新聞記事を用意し、一年間のニュースを地域別、分野別に振り返らせる。
新聞制作学習 新聞活用学習

1時限目 4月~3月までの大きなニュースを新聞記事をもとに振り返る。
2時限目 それぞれが選んだ記事を地域別、分野別に分類し、要約する。
3時限目 要約したものを新たに新聞記事の構成で作成し、自分の意見をつける。
4時限目 クラスで発表し、更に他の人の意見を聞き、まとめる。

第1時~第4時

1.一年間の授業でとりあげた新聞記事のコピーや、もちよった新聞記事をもとに、自分が関心を持った記事を選ぶ。
2.世界、日本、地元のニュース、話題の人物、聴覚障がいに関するニュースなど広く関心を持たせる。
3.選んだ記事を、要約用紙にまとめる。
4.自分が興味をもった部分を中心に自分の意見をまとめる。
5.新聞記事の構成を確認し、新聞記事の形式で自分の新聞を作成する。
6.クラスで発表し、それぞれの記事について考え、自分の意見、他の意見を照らし合わせ、総合的にまとめる。 

一年間のニュースを選ぶ際、記事の内容が時間的、内容的に偏らないように、広く関心をもたせるために、4月から順を追って、記事を振り返させるようにした。要約については、週3回の宿題でまとめ方、自分の考えの表現の方法を練習させ、日ごろから要約に慣れさせるようにした。記事について、興味関心だけで終わることがないように、今後にどのように活かせるかを考えることが大切であることを常に指導した。

新聞学習を始めた頃は、関心が薄く、読む習慣もなかったが、毎日、新聞を目に触れる場所に置き、授業で毎時、オンタイムのニュースを紹介していくうちに、意欲的に取組むようになった。また、週3回新聞記事をまとめる課題を出し、5W1Hを読み取る練習を重ね、自分の意見を適切に表現する力をつけた。一つの記事についての背景や理由を考え、他の記事の関連なども発見したり、意見を出し合うことの面白さも味わうようになった。

本校の取組みで、新聞に馴染むために、要約課題を週3回出していたが、普段接していない生徒も多く、指導が難しかった。今回の新聞学習では、数社の新聞を読む機会を持ち、直接手にとって読むことで、身近に感じたようだ。また、視野を広げ、毎日の生活で幅広い関心をもつことができた。学校行事などをテーマに新聞を作成し、コラムを書き、身近な話題もわかりやすく伝えることの重要性、自分なりの意見を他人にどう伝えるかなどを考えた。聴覚に障がいがある生徒たちにとって、新聞は視覚から入ってくる安定した情報なので、今後の生活にも新聞が欠かせないことを実感してほしい。また、新聞で使用される言葉を通して、語彙を広げ、今後の経験を通して、自分の言葉として表現し、コミュニケーションの力として実生活に活かしてほしい。


実践者名:宮崎県立都城さくら聴覚支援学校 海野 千尋