実践指定校実践例 2013年度

新聞コラム・社説を利用した進路実現に向けての文章力を身につける実践

雲雀丘学園中学校・高等学校(ひばりがおかがくえんちゅうがっこう・こうとうがっこう)

教科、科目、領域

高校(高等専門学校を含む): 総合学習 、キャリア教育・進路指導
学年 高校(高等専門学校を含む) 2年
新聞記者の書かれたプロの文章から,入学試験に向けた文章力を学ぶ
大学入試の小論文を代表とする記述形式の回答にそなえ1)文章を単純に書き写す2)自らの考えをまとめる3)文章を要約するという三段階で記述力を育成する。
新聞活用学習

第1段階 実践者が任意に選んだ新聞コラム(「正平調」など)を書き写す
第2段階 新聞コラムを読んで考えた感想を書く
第3段階 任意の社説記事を10分間で100字以内にまとめる

長期休暇中の講習

その週(できればその日)の新聞コラムを転載,下にマス目を用意したプリントを配布する。また,裏面には感想を書く欄を用意する。
裏面の下半分には社説の記事を転載し,内容を100字以内で要約する欄をつくる。

1) 新聞コラムの書き写し
 新聞コラムの文章を一字一句そのまま書き写す。
2) 新聞コラムの感想
 その日書き写した新聞コラムの感想を裏面の感想欄に自由に記述する。
3) 社説の内容要約
 社説記事を100字以内で要約する。

以上の内容を講習の時間にB4・1枚のプリントにまとめて実施する。
1)2)については講習授業開始前に教卓の上においてあるプリントを各自が教室に入った際に取ってやり始め,3)については朝礼開始とともに実践者が計時したうえで取り組む。
出来上がったプリントは回収し,コラム書き写しは確認・捺印,社説書き写しはコメントを書いた上で次回の講習時に各人にプリントを返却する際に,優秀な4~5枚をまとめたプリントを同時に配布する。

工夫として書き写し・要約は横書きで書かせた。
コラム・社説記事選定については,なるべく内容に偏りがでないように,政治・経済・社会・スポーツ・文化・科学など全般が網羅されるよう,また新聞社も偏らないよう留意した。
社説は回によっては,同じ題材の記事を論調の異なる2つの新聞社のものを転載し,一方を選択させるなどの工夫をした。

昨年度までは朝学習で取り組ませていたものが,講習で希望者を対象に実施したこともあり,当初から非常に意欲的に取り組むことができた。ただ,社説要約については,上の学年同様最初は時間内にできる生徒とできない生徒がはっきりと分かれた。それでも書けるようになるまでかかった期間は短かったように思う。

昨年度から取り組んできた社説の要約について,添削とともに配布してきた「優秀な要約の例」のプリントが非常に効果的であったと思う。10分で社説の読み込みから100字要約までをさせるので,非常に時間的にもタイトであるが,実際の大学入試の小論文のトレーニングとしては質的にも量的にも良いものであったと思われる。ただ,全員分の添削は非常に負担が大きく,そういった点をどうするかがこれからの取り組みの問題点であろう。

実践者名:雲雀丘学園中学校・高等学校 川口隆行