実践指定校実践例 2013年度

「新聞を通して震災を学ぶ」

姫路市立白鷺中学校(ひめじしりつはくろちゅうがっこう)

教科、科目、領域

中学校: 総合学習
学年 中学 2年
「新聞を通して震災を学ぶ」
今の中学生は、阪神淡路大震災を経験していない世代である。阪神淡路大震災を知ると共にこれから起こりうる震災について対処の仕方を考える。
新聞記事を読み、神戸で震災を経験した人の想いや苦労を知る。
新聞活用学習

本校では、2年生で神戸校外学習に行く学校行事がある。班にテーマを決め、それにそって調べ物をするのだが、テーマの一つとして、阪神淡路大震災をあげた。今の中学生は、阪神淡路大震災を経験していない世代であるため、震災に対するイメージや実感が持ちにくい。そこで事前学習として、新聞記事を読むことによりで神戸の人々の生の声や苦労を知ることで、より実感できるのでないかというのがねらいである。朝の10分間を利用して学習に取り組んだ。

10分×2回

〈第1回目〉
1、「長田の「こうべの壁」について」(1月13日読売新聞・朝刊)の記事を読んで問題に答えたり、まとめたりする。
 ○ 山下さんの両親の住居兼工場はどの駅の近くにありましたか。
 ○ 「こうべの壁」と呼ばれる防火壁の大きさを書き出しなさい。
 ○ 山下さんは、現代美術家の三原さんのどんな言葉で壁の公費解体申請を取り下げましたか。
 ○ 今、「こうべの壁」はどこにありますか。

〈第2回目〉
1、「ジュンク堂の歴史」(2月1日神戸新聞・朝刊)の記事を読んで問題に答えたり、まとめたりする。
 ○「ジュンク堂書店」の名前はどのように作られましたか。
 ○ジュンク堂は、何年にサンパルで店を開きましたか。
 ○震災後、いつから店を再開しましたか。
 ○震災後、店を再開した時に来たお客さんが「地図」を欲しがったと書いてありますが、何に使ったと思いますか。想像して書いてみましょう。
  

○新聞から情報を抜き出しさせ、事柄をまとめさせるようにした。
○難しい語句や震災当時の様子などを補足説明し、理解しやすいように努めた。
○ただ読み取るだけではなく、2回目の記事でどうして地図が必要だったか想像させた。震災当時の様子が想像できなければ、妥当な答えに行き着くことができない。あとで、模範解答を読み上げ、内容の確認をした。

神戸校外学習で実際にその場に行けることもあり、意欲的に取り組むことができた。1回目で取り上げた「こうべの壁」は今は淡路島に移されているが、「実際に淡路島までみんなで見に行きたい」という生徒がいた。2回目で取り上げた「ジュンク堂」についての記事の一番最後の問題では、「なぜ震災後、人々が地図を欲しがったのか」について妥当な考えにたどりつくことが難しかったが、答えを言ってやると納得したようであった。

1月前後になると、震災を特集した新聞記事が増えてくる。本校では、神戸校外学習を毎年2月に行っているので、神戸に関する記事をたくさん紹介できてとても良かった。子どもたちも震災についての知識が増え、当時の人々の想いを知ったことにより、少し大人にちかづいたような気がする。震災に関してのDVDや本がたくさんあるが、新聞記事は短い時間で紹介できたり、学習教材に使いやすいので、今回大変役立った。これから、ますます阪神淡路大震災を知らない世代が増えてくる。上手にこれらの資料を利用し、震災についての理解を深めこれからおこりうる地震対策を怠らないようにしたい。

実践者名:姫路市立白鷺中学校 佐伯 奈津子