実践指定校実践例 2013年度
読解力と語彙力の養成を目指した実践(英語)
兵庫県立山崎高等学校(ひょうごけんりつやまさきこうとうがっこう) |
教科、科目、領域 |
高校(高等専門学校を含む): 外国語 |
---|---|
学年 | 高校(高等専門学校を含む) 1年 |
コミュニケーション英語Ⅱ |
高校生にとって身近で、かつ教科書よりも難度の高い内容を、英和辞書を活用して読むことで、読解力と語彙力を高める。 |
新聞記事は難度が高いため、グループ学習に適している。達成感を感じさせるために適切な素材となる。 |
本校の「コミュニケーション英語Ⅰ」の授業内にて、英字新聞を活用して情報を読み取る訓練を行った。当該学年普通科は、全員が英和辞典グランドセンチュリー(三省堂)を購入している。語彙力をつける、という目的に加え、「辞書を引いて課題を達成した」という成功体験から、辞書を引く習慣をつけることを目標とした。また、タイムリーなニュースを英語で読むことにより、英語を「教科」としてではなく、日常的に情報を入手するための「手段」であると認識することも狙いとしている。
第1~2時 |
(1)トピックに関するOral Introductionの後、本時に取り扱う記事の内容に関連した英語のニュース動画を見て、背景知識を視覚的に導入しておく。 |
(1)災害に関する専門用語が多いため、キーワードの指導は丁寧に行う。ただし、辞書の活用を前提とした活動であるため、生徒の語彙力を大きく超えているキーワードのみの紹介に留めておく。 |
グループ活動では、辞書を活用しながら、協力して課題に取り組めていた。やはり文章のレベルが高く、キーワードを導入しても読み取りに苦労しているようだったが、グループ内の誰かが答えを導き出した時には、賞賛し、認め合う姿が見られた。こちらの予想を上回って熱心に活動し、導き出した答えが全て正解だったグループの中には、互いにハイタッチをして喜ぶ者もいたほどで、実践者としても驚かされた。
最初にNIE実践校の指定を受け、英語科での実施を打診された時には、「かなり難しいだろう」というのが第一印象であった。英字新聞で扱われる語彙と、生徒の語彙力の乖離が大きく、達成感を感じさせる授業をするには、素材が難しすぎるのではないかと思ったためである。しかし、生徒は生き生きと活動し、活気のある授業ができた。新聞の記事は、教科書や問題集の素材と比べて、生徒にとって身近で、タイムリーで、実生活との関連を感じさせるものである。生徒が興味を持てるかどうかは、教材が難しいかどうかよりも重要であると改めて感じた。今回の実践では「新聞の情報を読み取る」段階に留まり、「読み取った情報から、自分の考えを述べる」までには昇華できていない。今後はこの点を改善し、自分の意見を英語で表現する力を養っていきたい。
実践者名:兵庫県立山崎高等学校 上本 善之