実践指定校実践例 2013年度

誰でもできるクラスでの取り組み

宮城県水産高等学校(みやぎけんすいさんこうとうがっこう)

教科、科目、領域

高校(高等専門学校を含む): その他(ホームルーム活動)
学年 高校(高等専門学校を含む) 3年
ホームルーム
新聞を始め、活字を読む機会のない生徒に、苦手意識(文字に対する嫌悪感)を刺激することなく、とにかくまずは新聞に触れる機会を与える。
「学級日誌」「学級通信」といった、ありふれたツールを使うことと、生徒に義務感をできるだけ感じさせずに、新聞と接する機会を与える。
新聞活用学習

(教育活動の場ではあったが、「授業」における実践ではないので、単元として位置付けられない。)

(「授業」での実践ではないため、特定できない。)

各クラスに1部ずつ新聞が届けられているが、教室に置いておくだけでは、手に取る生徒もほとんどないので、有効活用の方法を模索していた。
学習内容は、次のように非常に単純なものである。
(1)「学級日誌」の所感欄には、必ずその日の新聞記事の中から目に止まった記事を取り上げ、内容と感想を書くことにする。これは、担任側から週番の義務として与えたが、週番は2人制で、年に2度しか回ってこないので、生徒もあまり面倒と感じずに取り組めた。
(2)週に1度発行の「学級通信」裏面に、必ず新聞記事を印刷し、担任の簡単なコメントを添えた。10分間の「朝読書タイム」の前に配布するが、読むことについての呼び掛けも、読んだことに基づく作業も課さず、読むか読まないかは完全に生徒の自由意思に任せた。

(1)については、生徒が書いたコメントに、担任が必ずコメントを返すことだけを心がけた。
(2)については、担任がコメントを書く際に、担任の意見を押しつけるのではなく、生徒が考えるヒントになったり、記事を読んでみようかという動機付けになる内容となるような配慮をした。

(1)については、担当する生徒の温度差が大きかった。野球やサッカーの試合結果に偏る傾向も見られた。
(2)については、生徒の日常生活とかけ離れたレベルの記事も多かったにもかかわらず、意外によく読んでいた。「朝読書」として10分間が確保されていることと、義務ではないということが、生徒を記事に向かわせたと考えられる。アンケートを取ったところ、75%前後の生徒が「読んでいる」と回答した。

大きな労力を費やした実践には、それなりの意味があるが、細く長く続けていくためには、ある程度の気軽さと気楽さが必要である。これらの実践は、生徒が新聞に触れる機会を増やすというささやかで深まりのない実践かも知れないが、教員・生徒ともに「継続」の可能な実践としては価値があったと思う。ただし、特に(2)については、生徒が読んでいるとはいっても、その理解度については何の確認もしておらず、あくまでも第一段階であるに過ぎない。深く読むことを通して面白さに目覚めるということもあるので、授業とリンクしながら、その両面を追求していきたいと思う。また、NIEにおいては、より多くの教員に問題意識を共有してもらうことが必要である。「学級通信」を教員にも配ることは、そのために意味のあることだった。

実践者名:宮城県水産高等学校 平居 高志