実践指定校実践例 2013年度

言語活動の充実を目指して~新聞4コママンガ教材化の試みから

駒ヶ根市立中沢小学校(こまがねしりつなかざわしょうがっこう)

教科、科目、領域

小学校: 国語
学年 小学 1年 、2年
つたえ合い名人になろう(国語)
新聞の4コマ漫画の4コマ目を伏せて読み、最後はどうなるかを予想し、そうなるだろうと考えた理由を書くことを通して、自分の考えの根拠をはっきりさせて発表できる。
授業で取り上げる4コマ漫画は、ふだんの生活にもありそうな話題、テーマを題材にしたものを選び、自分の生活を見返したり、お互いの考えを聞き合って考えを深めたりする。
新聞活用学習

単元展開の概要 (全10時間)
第1次(3時間)・「つたえ合い名人」になるために、自分の考えをみんなに伝えられるよう学習することを知る。発言のルール(自分の考えを持つ、理由、つなげて話す)を意識しながら、4コマ漫画を使って学習する。
第2次(4時間)・4コマ漫画の4コマ目に注目し、どんな結末になるのかを自分なりに考え、根拠をはっきりさせて発表する。
第3次(3時間)・友だちの考えを聞いて質問や付け足しをしたり、自分の感想を伝えたりしながら、話し合いを楽しむ。

第2次(4~7時)

①拡大した新聞の4コマ漫画を提示し、3コマ目までを全体で確認する。
②3コマ目までの情報や話の流れから、4コマ目はどのような結末になるのか自分なりに考える。
 結末の伏せ方はいくつか考えられる。(A全部を隠す B登場人物の吹き出しのみを隠す C登場人物の吹き出しと考えさせたい絵の部分を隠すなど)
 本時は全部を隠すのではなく、ケーキの部分とお母さんの言葉を伏せた状態で提示した。
③学習カードを用いて、4コマ目に入る言葉や絵を考える。
④自分の考えを学習カードに書き、お隣さんと発表し合った後、全体で発表し合う。

・授業学年が低学年である場合は、難しい語句については、最初に全体で確認しておく。
・4コマ目を当てるのが学習の目的ではないので、あえて4コマ目は示さない(それでも子どもたちはおもしろおかしく結末を予想したり、友だちの考えを聞いて楽しんだりしていた)。

4コマ漫画が提示された時点で、たくさんのつぶやきが聞かれた授業であった。全体発表では、「ケーキは全部食べてなくなってしまった」という発表が続く中、2コマ目に注目して「(ケーキは)なくなるわけない」と発言する児童もいた。学習カードには「ケーキのほとんどを食べて、お母さんが見たらすごく減っていた。2コマ目で『ちょっと食べていい?』と言ったから、全部は食べてないと思う」と自分なりの考えを書く姿があった。

低学年の子どもたちにとっても、新聞の4コママンガは、意欲をもって進んで友達と関わり、「読みとる力」だけでなく「表現力」と「書く力」を高めることで、「伝え合う力」を高めることができた教材となった。4コママンガ学習を始め、全教育活動の中で、子どもたちに言葉を通して友達と関わる経験を意欲的に積み重ねていけば、満足感を持ち、自己に対しても他者に対しても受容的になりえる自己肯定感が育ってくると考えられる。

実践者名:駒ヶ根市立中沢小学校 梶谷 祐介