実践指定校実践例 2013年度

「将来役立つ朝自習」

盛岡大学附属高等学校(もりおかだいがくふぞくこうとうがっこう)

教科、科目、領域

高校(高等専門学校を含む): キャリア教育・進路指導
学年 高校(高等専門学校を含む) 1年 、2年 、3年
キャリア教育・進路指導
現在の社会問題を正確に捉え、それについての意見を文章にまとめる力、基礎的な語彙や知識を身に付けさせ、将来必要な理解力・表現力・考える力を育成する。
今話題になっている新しいニュースを選ぶとともに、ジャンルが偏らないよう留意する。「政治」や「国際問題」など、生徒にとって難しい分野も取り入れる。
新聞活用学習

月曜日から金曜日までの朝のホームルーム前の朝自習の時間を使用し、新聞記事を用いたプリント学習を行う。

8:30から8:40までの10分間

(1)担当教員が記事を選び、一週間で完成する設問を付けたプリントと解答例を作成・印刷する。
(2)担任が、週初めにプリントをクラスに配付する。
(3)月曜日:記事中の指定された漢字を練習する。
(4)火曜日:記事中の指定された語句の意味を辞書で調べる。
(5)水曜日:記事中で自分が注目した箇所に線を引き、それについての意見を解答欄に記入する。
(6)木曜日:記事中で指定された箇所について、読解中心出題された問いについて答える。担任が、プリントを回収し、内容をチェックする。
(7)金曜日:担任が回収したプリントとともに解答例を配付し、記事についての補足説明や、生徒の意見の紹介をする。生徒は解答例と自分の解答を照らし合わせ、不足部分を記入する。
(8)記入が終わったら、ファイルに綴じ、保存し、後で振り返ることができるようにする。

(1)選ぶ記事の分野が偏らないように心掛ける。
(2)解答例は、あくまで例であり、多様な意見があることを理解させる。
(3)解答例の意見も、偏った意見になりすぎないようにする。

新聞を読む習慣のない生徒が多く、記事を理解できず意見が書けない生徒もいたが、担任の解説や解答例を参考にしながら取り組みを続けるうちに、次第に知識や理解が深まり、自分の意見を書けるようになった。年度末のアンケートでは、大多数の生徒が、新聞を読み、記事について考えることで力がついたと答えている。毎日続けることの大事さを感じた生徒も多かった。

成果として、新聞やニュースに対する抵抗感がなくなり、社会の動きに対して関心を持つ生徒が増え、小論文・面接指導の一助になったことが挙げられる。また、語彙・読解力検定での合格者を出したこと、続けてきた取り組みが評価されて岩手日報(2013年11月16日)に掲載されたことがある。初めは上手く意見を文章化できなかった生徒も、年度末には文章にまとめられるようになったことも成果の一つである。
課題としては、記事の内容が理解できず意見が書けない生徒に対して、事前に内容を解説するなどの対応が不足していたことがある。生徒への理解を徹底させ、予備知識を与えることで、書く力の育成にもつながると考えられる。今後も新聞記事の活用方法について、更に工夫していきたい。

実践者名:盛岡大学附属高等学校 佐々木 智乃