実践指定校実践例 2013年度

北方領土問題とは?

浜松市立三ヶ日中学校(はままつしりつみっかびちゅうがっこう)

教科、科目、領域

中学校: 地理 、歴史 、公民
学年 中学 2年 、3年
北海道地方
新聞記事から北方領土の現状を知り、前時にまとめた領土問題に対する考えと照らしながら、新聞記事への関心を高めるとともに、自分なりの解決案を発表することができる。
新聞に慣れ親しんでいない生徒も多かったので、文章を読み取りやすくするよう、拡大印刷をした。また、難しい用語については注釈を入れたり、口頭で説明したりした。
新聞活用学習

1時限目 主な都市の位置と名称を白地図にまとめる。
2時限目 気候やそれに対応した人々の暮らしの特色について調べる。
3時限目 農業の特色について調べる。
4時限目 漁業全体と栽培漁業の生産の変化を調べる。
5時限目 自然環境を生かした観光の特色について追究する。
6時限目 北方領土の位置と各島の名称、戦前の北方四島での生活の様子や、ソ連による占拠の歴史を確認して、北方領土問題に対する考えをまとめる。
7時限目 新聞記事と前時にまとめた自分の考えと照らしながら、解決案を発表する。

第7時

(1) 前時にまとめた北方領土問題に対する考えを発表する。
(2) 新聞記事から、北方領土の現状を確認する。
 択捉島とパラムシル島の現状を紹介した新聞記事を配布する。後のグループ学習のために、片方の島に関する記事を配布し、どちらかの島の以下の点を確認させるようにする。
・ 島の生活の様子
・ 島民の日本への思いや考え方
(3) グループ学習から、北方領土の現状を再確認する。
(4) 北方領土問題解決案を ワークシートにまとめる。

前時に学習した「国境の取り決めの変遷」「元島民の思い」「領域」「排他的経済水域」、本時で取り上げた「択捉島とパラムシル島それぞれの生活の様子や島民の日本への思いや考え方」を黒板にまとめ、授業の流れを確認させることで、解決案をまとめる参考にさせる。解決案をまとめることが困難な生徒に対しては、他の生徒の論評ノートの例を参考資料として示す。

北方領土については今の名前と位置ぐらいは既習内容であったが、なぜ領土問題として存在しているのか知っていなかった生徒が多く、新聞の特集記事を食い入るように読んでいた。また、教科書にはない「現状」を知る唯一の手掛かりとして、一言一句読み取り、丁寧にワークシートにまとめていた。また、日本との関係を新聞記事から指摘できた生徒に対してはグループ内で賞賛の声があがった。

新聞記事を用いたことで、北方領土問題を「身近」なものとして捉える生徒が多かった。やはり新聞は生徒にとって「生」の話題であることを再認識した。課題としては、グループ活動による練り合いの時間が余り確保できず、新聞記事からの読み取りを深められなかった点と、1社の記事を使用したため、考えを比較、構成するメディアリテラシーまで到達できなかった点が挙げられる。新聞記事の蓄積と、効果的な提示の仕方を今後も考えていきたい。

実践者名:浜松市立三ヶ日中学校 小川 高明