実践指定校実践例 2013年度

学習活動と社会をつなぐNIE(3)~メディアに対する読解力の向上を目指して~

北海道洞爺高等学校(ほっかいどうとうやこうとうがっこう)

教科、科目、領域

高校(高等専門学校を含む): 家庭
学年 高校(高等専門学校を含む) 1年
自分の将来について考えよう
高校生の進路体験を扱った記事を読んで、自らの将来についてイメージを持つ。また、記事を読んで感じたことをまとめ、発表する。
家庭科「生活デザイン」において、各単元の「導入」と「まとめ」において学習内容と関連する記事を配布し、学習内容と社会を関連付けて考えさせる。
新聞活用学習

生活デザイン(1学年2単位)単元:人の一生と家族・家庭及び福祉
(1)青年期の自立と家族・家庭(20時間)…本時
  働くことの重要性を学習した後、高校生の進路決定に関する記事を参考に、自分の将来について考えをまとめ、発表する
(2)高齢期の生活(10時間)
(3)共生社会と福祉(5時間)

第19時

 働くこととは、自己の意思決定に基づき行動することであると理解させるために、実際に進路を決定させるために困難や課題を乗り越えた高校生の実例が紹介されている連載記事2編を資料として配布した。
 本校は家庭に関する専門学科のため、将来は食に関わる職業を希望する生徒が多い。そこで、寿司職人や販売に関する仕事に就いた高校生の経験談が書かれた新聞記事を使用した。
(1)資料を2種類配布し、それぞれ自分に近いと思う生徒の記事について、感じたことを文章にまとめる。
 ・1次試験に通ったことで気が緩み進路決定ができなかった生徒が、目標を明確にして再チャレンジすることで内定をもらうことができたという内容。
 ・やりたいことが見つからない生徒が、偶然見つけた寿司会社に採用になり、そこからやる気を持つことができるようになったという内容。
(2)まとめた文章をクラスメートの前で発表する。互いの評価を行う。

(1)同世代の悩みが書かれている記事をとりあげることで、「新聞には難しいことが書かれている」という思い込みを取り除くようにする。
(2)2つから1つを選ぶことで、自分で選択したという気持ちを持って考えさせるようにする。
(3)書くことだけではなく、発表することでリテラシー能力の育成に努める。

生徒の感想
・自分もまだ何がやりたいか決まっていません。今のままでは〇〇さんのように「自分は何に向いているんだろう」と悩んでしまうと思います。体験入学などに積極的に参加して、自分には何が向いているのか探していきたいと思います。
・目指している仕事はあるけど、まだその仕事については何も知らないし、向いているかもわからない。でも、今から調理の知識を身に付けて準備したいと思った。

 本校は新聞エコバッグ作りをきっかけにNIE活動を行うようになった。広告としての役割を持たせた新聞バッグを作るためには、新聞から適切な記事の選択をしなければならない。しかし、新聞を読むという生活経験が乏しく、新聞は難しいものとして遠ざけてしまう生徒が多くいる。
 そこで、本校では家庭科・国語科・地歴公民科が連携して、生徒のリテラシー能力の向上を目標として、学年進行でNIE活動を続けている。一見、新聞記事をとりあげ、感想をまとめ発表するという同じ行為ではあるが、教科指導者のカラーが反映されることで様々な視点から新聞記事が扱われている。
 こうした経験を重ねることにより、新聞に対する拒否感は薄れつつあるが、まだ、内容を正確に読み取る能力に欠ける部分があるため、今後も指導を続けていきたい。

実践者名:北海道洞爺高等学校 狩野千賀子